多くの中小企業経営者を導いてきたカリスマ経営コンサルタントがいます。一倉定さんといって、知る人ぞ知るカリスマ経営コンサルタントです。
その教えは、中小企業経営の実践にそのまま役立つ原理原則を伝える「珠玉の言葉」で溢れています。実際に企業経営に日々悩み苦悩する中小企業経営者だからこそ、心に響く言葉です。
ということで、本日紹介する本はこちらです。
一倉定『一倉定の経営心得』(日本経営合理化協会出版局)
この本は、舛田光洋さんの『人生カンタンリセット!夢をかなえる「そうじ力」』(総合法令出版)で紹介されていたので読みました。舛田さんの本は信頼できる仲間に紹介してもらった本で、とてもインパクトがあり2015年1月12日付のコラムで紹介しました。
舛田さんが引用していたのは『一倉定の経営心得』の1-12環境整備(P26~P27)の部分です。「環境整備こそ、全ての活動の原点である。」という一倉定さんの言葉は心に響きます。「環境整備」とは、以下の5つを行うことです。
1.規律
2.清潔
3.整頓
4.安全
5.衛星
多くの人々は環境整備について知っているようでその実よく知らない、という。大切なことだからやらなければいけないと思いながらなかなか積極的に実施しようとはしない。
一倉さんは「環境整備に対する認識も関心もうすい。私にいわせたらこれほど奇妙な現象はない」と述べています。なぜなら「十カラットのダイヤモンドがゴロゴロころがっている宝の山に入り誰でも自由にこれを拾っていいのに、これを拾い上げようとしないようなものである」と言っています。
「盲点中の盲点ということができよう」と一倉さんは締めくくっています。それほど「環境整備」は経営にとって重要だと述べています。次の項目1-13最も優れた社員教育の中でも「環境整備には、いかなる社員教育も、どんな道徳教育も足下にも及ばない」と述べて、その大切さを強調しているほどです。
カリスマ経営コンサルタントと呼ばれた一倉定さんが提唱する「環境整備」は、舛田光洋さんが説く「そうじ力」と同じことを述べているのだと思います。経営はもちろん、あらゆる活動の原点が「そうじ」であり「環境整備」なのでしょう。
この本は『一倉定の社長学全集』(全10巻)を抜粋して編纂された書です。一倉さんの経営哲学や教えが凝縮されている名著で、以下のような構成になっています。
1.事業活動の本質
2.最高責任者としてのあり方
3.事業と販売
4.経営の数字
5.未来事業
6.組織と人
それぞれのテーマが15~17の項目に分類整理され、経営に大切な考え方が凝縮されています。上記の2番目にある「最高責任者としてのあり方」のみ25項目にわたっています。経営者としてのあるべき姿、まさに「経営心得」を説いた書です。
それぞれの教えはドラッカーの経営論やポーターの競争戦略論など、経営学の叡智を採り入れ解釈したと思われる箇所が随所に出てきます。経営者であれば、ひとつひとつの言葉が心に沁み、大いに感銘を受けることでしょう。
経営を志す全ての起業家に手元に置いて常に読んでもらいたい一冊です。
では、今日もハッピーな1日を!