異例づくしの記者会見から始まった「STAP細胞」をめぐる一連の報道をリードし続けてきた毎日新聞科学環境部の須田桃子記者が、報道の経緯を書籍化してまとめました。
本日紹介するのは、小保方晴子さんと同じ早稲田大学大学院出身の須田桃子さんが書いた、こちらの書です。
須田桃子『捏造の科学者 STAP細胞事件』(文藝春秋)
この本は、「i PS 細胞を超える発見」と当初宣伝された「STAP細胞」の発見会見から、「科学史に残るスキャンダルになる」と直感した著者が、疑問点をひとつずつ取材によって解き明かしていく過程が克明に記されています。
日本で最高水準の研究水準と評価される理化学研究所で、なぜシニア研究者による「未熟な小保方研究員」のチェック機能が果たされなかったのか、いまだに理由が明確になりません。
また、研究者としての実績・評価が飛びぬけて高いと誰もが見ていた笹井副センター長がなぜ、自殺という道を選ぶことになったのか、科学者の論理や理研という組織の構造的な問題が複雑に絡み合って、一般の国民には分かりにくい事件です。
本書は以下の12部構成から成っています。
1.異例づくしの記者会見
2.疑惑浮上
3.衝撃の撤回呼びかけ
4.STAP研究の原点
5.不正認定
6.小保方氏の反撃
7.不正確定
8.存在を揺るがす解析
9.ついに論文撤回
10.軽視された過去の指摘
11.笹井氏の死とCDB「解体」
12.STAP細胞事件が残したもの
イギリスの権威ある科学雑誌ネイチャーや、ハーバード大学研究室など、世界トップクラスの機関をも巻き込んだ今回の「STAP細胞」事件は、私たちに何を残したのでしょうか。
本書の最後で指摘しているように、科学者が置かれている研究環境は非常に厳しいものがある、ということです。科学界の自浄作用や、重要だが短期的な成果が見込めない研究テーマに、じっくり取り組める研究者の環境が求められています。
また、不正が発覚した時の対応や調査の姿勢など、日本はまだまだ学ぶ必要があるのではないでしょうか。
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では、今日もハッピーな1日を!