「こんな老後を予想できなかった」など、年金生活者が些細なきっかけで陥る「老後破産」という現実があります。
本日紹介するのは、NHK スペシャルで放映して大反響となった番組を書籍化した、こちらの本です。
NHK スペシャル取材班『老後破産:長寿という悪夢』(新潮社)
この本は、2014年9月28日放送の NHK スペシャル『老人漂流社会 ~“ 老後破産 ” の現実~ 』をベースに、番組で紹介し切れなかった高齢者の現実も含めて描き直したルポです。
ひとり暮らしの高齢者が600万人に迫る中、年収が生活保護水準を下回る人はおよそ半数です。このうち生活保護を受けている人は70万人。
残る人たちの中には、預貯金など十分な蓄えがある人もいるが、それを除くとざっと200万人余りのひとり暮らしの高齢者は、生活保護を受けずに年金だけでギリギリの生活を続けています。
病気になったり介護が必要になったりすれば、とたんに生活は破綻してしまいます。
少子高齢化が進む中で、年金・医療・介護といった社会保障給付費は国民所得の30%以上を占めています。現役世代が65歳以上の高齢者を何人で支えるかをみてみると、1990年は5.1人でひとりの高齢者を支えていました。
それが、2010年には2.6人、2030年には1.7人となり、ほぼ現役世代ひとりで高齢者を支える構造に近づいています。
こうした世代間の厳しい対立から、「生活保護の受給者はもらい過ぎ」とか、「そうなったのはあなたの責任」という自己責任論が出てきています。
しかしながら本書では、格差社会の中で「老後破産」の高齢者が急増しているという現実を描き、「現場」からの議論を提唱しています。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.「老後破産」の現実
2.都市部で急増する独居高齢者の「老後破産」
3.夢を持てなくなった高齢者たち
4.なぜ「老後破産」に陥るのか~社会保障制度の落とし穴
5.地方では見えにくい「老後破産」
6.急増する「老後破産」予備軍
7.拡大再生産される「老後破産」
本書では、具体的な「現場」からの取材を通して、高齢者の「老後破産」という現実を描き出しています。とくに目立つのは自営業で仕事ひと筋で懸命に働いてきた人たちの、あまりも厳しい年金生活です。
国民年金だけでは住居費や公共料金を差し引いたらわずかな金額しか残らないという現実です。その中から限界まで切り詰めた食費や生活費。
医療費や介護費用の自己負担分さえも支払えずに、病院にも行かず、必要な介護(ヘルパーによる支援)も拒否せざるを得ないという生活の実態があります。
本書で指摘しているのは、以下のような「老後破産」にいたる高齢者の特徴です。
◆ 未婚のまま独身、あるいは離婚や死別により単身世帯となった瞬間に年金額が少なくて生活が破綻
◆ 自営業や年金積立をしていない杜撰な会社に勤務していた会社員の年金が少なくて生活が破綻
◆ 健康なうちはギリギリで生活できたが病気や要介護となったのを機に生活が破綻
◆ 年金だけでギリギリの生活をしていると付き合いが切れて社会的孤立の状態になる
また本書では、都市部でも農村などの地方においても、どちらもひとり暮らし高齢者の「老後破産」が急増している実態に警鐘を鳴らしています。
さらに、「老後破産」予備軍として、働く世代にも生活破綻に至ることが確実な人々が存在することを指摘しています。
年金だけで生活するのもギリギリなのに、失業した中高年の子どもに補助したりして親子共倒れになるケースも急増している、と言います。
こうして「老後破産」が拡大再生産されてしまう実態も見逃すことができないでしょう。
年金生活者が些細なきっかけで陥る「老後破産」という現実は、番組放送の直後から大きな反響を呼びました。とくに若い世代が、自らの将来に不安を強く持った、ということです。
あなたも本書で現実をしっかりと踏まえて、「定年後の人生設計」を40代、50代のうちからしっかり立てていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!