ドキュメンタリー『定年前起業への道-57歳からの挑戦!』の第57回は、「知的生活の実践」<その2>です。
≪ 脳を磨く方法は「読書」だった!≫
今、最も読まれているビジネス書の作家のひとりとして、脳科学者の茂木健一郎さんがいます。茂木さんは、以前から、「ドーパミン」と「強化学習」とともに、「読書」を勧めています。
とくに2008年に40万部を超えるベストセラーになったこちらの著書は有名です。
茂木健一郎『脳を活かす勉強法』(PHP文庫)
この本は、以下のような「強化学習」サイクルが回り始めると、勉強が楽しくなってどんどん上達することを説明しています。
1.ある行動が、試行錯誤の上、上手く行く
2.褒められる、達成感を得るなどの報酬を受け取る
3.ドーパミンが放出され快感を得る
4.ある行動と快感が結びつく
5.再び同じ行動をとりたくなる
6.試行錯誤の上、上手く行く
脳は、年齢や環境に関係なく成長する、と著者の茂木さんは言います。
そうした中で今般、新刊書として、さらに「読書」すなわち「本の読み方」にフォーカスした、茂木健一郎さんの著書が出版されました。ぜひお薦めしたいのは、こちらの一冊です。
茂木健一郎『頭は「本の読み方」で磨かれる』(三笠書房)
この本は、私が数多く読んできた「読書術」や「読書法」の書籍の中でも、最も「読書の本質」を的確に表現している書ではないかと思います。
読書家の方は、経営者や学者、作家など、各分野に数多くいらっしゃいますが、「読書」の効用をそれぞれの「言葉」や「思い」で表現しています。
それら数多くの「読書を勧める書」と比較しても、本書は脳科学の立場から考察し、最も説得力ある、的確な「読書」のメリットを説明している本でしょう。
≪ 「本を読む」4つのメリット ≫
本を読むか、読まないかは、決定的な違いとなって表れる、と茂木さんは言います。映画、映像、音楽などもありますが、本が一番、「情報の凝縮度」が高いということです。
「言語」は、脳の情報表現の中で、最もギュッと圧縮されたもので、「本なんて必要ない」と思っている人は、いずれ人生の深みや喜びに差がついて、絶対に後悔することになる、と著者は言い切っています。
茂木さんによれば、「本を読むメリット」は以下の4点です。
1.読んだ本の数だけ、高いところから世界が見える (上記左側のブロック写真を参照)
2.脳を鍛えたいなら、読書がいちばん
3.生きる上での「ワクチン」になる
4.本を読むのは、シンプルに「かっこいい」
とくに上記の1番目は重要です。「本を読む」ということは、脳の「側頭連合野」にデータが蓄積されていく、ということです。
「側頭連合野」は、記憶、聴覚、視覚をつかさどる部分で、「本を読む」ということは、「自分の経験」を増やすことです。
頭の中に入れた知識は発酵して育つもので、自分の過去と未来の経験と結びついて、新しい意味が見出され、発展していきます。
発酵のプロセスを経て、初めて「知性・見識」として定着する、ということです。本を書いた人の経験を「読む」ことを通して自分のものにする、ということです。
著者の茂木さんが、ケンブリッジ大学へ留学中に痛感したこととして、「学び」とは「読むこと」というのがあったそうです。
ケンブリッジ大学・博士課程の大学院生、研究者など、脳科学のプロたちは、研究室で何をやっているかというと、それはズバリ、「読む」ことです。
膨大な量の「論文」を読んで、実験した研究者の立場に立って考える、ということを日々、しているそうです。
茂木さんは言います。
「知性」とは、「どれだけたくさんの人の立場で考えられるか」ということ。そして、それは「読む」ことによって養われる力なのです。
知的活動の現場で、実際に重視されているのが、「積極的な読書」です。どんな本にも、①自分の知らない情報、②自分とは違う意見があります。
「これはどういう意味だろう」と考えることが、「自分の枠を広げる」ことになるのです。
この本には、さらに知識を吸収し、人生に活かす技法(スキル)として、「7つの絶対ポイント」なども紹介されていて興味深いのですが、詳しくは後日、本書の書評にて紹介いたします。
定年後の「知的生活の実践」を展望して、50代以降から徐々に準備していくにあたり、「本を読む」ことは不可欠な行動になるでしょう。
2015年11月1日の「定年前起業」まで、あと110日です。皆さんの温かい励ましや応援をどうかよろしくお願いいたします。