「60歳からの起業は意外と低リスクだ」と説く本があります。本日紹介するのは、自ら「熟年起業」した津田倫男さんの書いたこちらの本です。
津田倫男『60歳からの「熟年起業」』(講談社+α文庫)
この本は、2010年代を生き抜くための定年退職者の新マニフェスト、あるいは新アジェンダと呼ぶべき書だ、と著者は言います。
「老後に働く」をさらに一歩進めて、「熟年起業」が新たな世界的な流れになるのではないか、と津田さんは考えています。
本書は、以下の7部構成から成っています。
1.2000年代後半に激変した「起業」環境
2.いま「熟年起業」すべきはこんな人
3.「熟年起業」はじつは低リスク
4.でも、思いつきで起業してはならない
5.一度始めたら、必ず成功させるために
6.成功と失敗、「熟年起業」10の事例研究
7.ICT(情報通信技術)に精通していることの陥穽
本書の巻末には、著者自身の手による参考文献が挙げられていて興味深いです。
本書で興味深かったのは、いま「熟年起業」すべき人として、以下のような方々が挙がっていることです。
◆ 「いつか独立したい」と考えてきた人
◆ 定年後も地道に働き続けたい人
◆ 過去の経験を活かしたい人
◆ 組織や上下関係が嫌いだった人
◆ 一度は「社長」をやってみたかった人
また本書では、「熟年起業」は実は低リスクだとしています。それは、以下にある、「熟年起業」の6つの優位性があるためです。
1.歳の功がある
2.人の縁がある
3.師がいる
4.信用がある
5.お金がある
6.果たせなかった夢がある
著者の津田さんは、「熟年起業」は、以下の式が成り立つから、意外な程、低リスクだと言います。
(人脈×少しの資金) × 生きがい = 意外なほど低リスク
また逆に、起業をめざす50代・60代の中で、「起業に失敗」しやすい人として、著者は次の4つのタイプを挙げています。
1.リスクを必要以上に恐れる人
2.将来の不安定を誰かに背負ってほしいと願う人
3.問題は自分のせいで起こっているのではない、他人や社会が起こしていると思う人
4.悪いほう、悪いほうに考えがちで、人からそのことを注意されても考えを改めない人
かなり具体的に、力を入れて書いているので、おそらく著者の相談経験から身に染みて感じている「失敗するタイプ」なのでしょう。心して読ませていただきました。
本書の後半では、実務的なアドバイスや留意点などが書かれていて参考になります。その中でも、ICT(情報通信技術)の知識と、さらに配偶者との「ふたり起業」という選択肢は考えておいた方がよいでしょう。
また本書の最後から二番目には、成功と失敗、「熟年起業」10の事例研究が掲載されています。
それぞれが興味深く、また課題も多く抱えていることが分かりました。具体的な成功例や失敗例から学べることは多いものです。
本書の巻末では、ICT(情報通信技術)について、著者の見識が述べられています。「ICTリテラシー6つの罠」として、以下の6点を挙げて戒めています。
1.「人」との接点が薄れる
2.「もの」に対する関心が薄れてしまう
3.全ての「情報」がネットを経由して流れるものという錯覚に陥る
4.ネットでの「サービス」に過度の、非現実的な期待を抱いてしまう
5.「現実社会」がネット空間にこそあると勘違いしてしまう
6.ICTが「すべての解」と思い込んでしまう
要するに、ICT(情報通信技術)はこれまでのビジネスを根底から変える革命的なツールですが、それだけに過度に期待してはいけない、ということです。
ネットとリアルは車の両輪で、両方が揃い、うまく組み合わさって相乗効果を生み出すもの、というふうに私は理解しています。
「ネットふが大事か、リアルが大事か」という論争は折に触れて出てきますが、「両方とも大事」、「両方なければダメ」というのが、私の結論です。
言い換えれば、ネットとリアルが組み合わさって相乗効果を発揮すれば、とてつもないパワーになる潜在力を秘めている、ということです。
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では、今日もハッピーな1日を!