最新科学でわかった「脳細胞の増やし方」について、詳しく分析して発表したところ世界で大きな反響を巻き起こした書があります。
米ハーバード大学医学部生たちを教える医学博士ジョン・J・レイティが書いた、こちらの本を今日は紹介します。
ジョン・J・レイティほか『脳を鍛えるには運動しかない』(NHK出版)
この本は、以下のことを実証して大きな反響を呼んでいます。
◆ 運動をさせた子どもは成績が上がる
◆ 運動すると35%も脳の神経成長因子が増える
◆ 運動することでストレスやうつを抑えられる
◆ 運動で5歳児のIQと言語能力には大きな差がでる
◆ 運動する人は癌にかかりにくい
◆ 運動を週2回以上続ければ認知症になる確率が半分になる
本書は、以下の10部構成から成っています。
1.革命へようこそ-運動と脳に関するケーススタディ
2.学習-脳細胞を育てよう
3.ストレス-最大の障害
4.不安-パニックを避ける
5.うつ-気分をよくする
6.注意欠陥障害-注意散漫から脱け出す
7.依存症-セルフコントロールのしくみを再生する
8.ホルモンの変化-女性の脳に及ぼす影響
9.加齢-賢く老いる
10.鍛錬-脳を作る
本書の巻末には「用語解説」も付属していて、医学の専門用語に関しても確認しながら読み進めることができて便利です。
私の本書から受けた印象としては、何となく「運動が脳を活性化する」ことは、他の書籍や自らの体験から感じていたものの、あらためて科学的な観点から確認することができて有益でした。
私が「生活習慣の師匠」と仰ぐ、91歳で現役の執筆活動や毎日の散歩を欠かさない、「知の巨人」と呼ばれる作家の外山滋比古さんが実践する「運動」の習慣も、本書でその素晴らしさが裏付けられています。
著者のジョン・J・レイティさんは言います。
「運動で爽快な気分になるのは、心臓から血液がさかんに送り出され、脳がベストの状態になるからなのだ。」
「脳を最高の状態に保つには、体を精一杯はたらかせなければならない。」
そして本書では一貫して、「体の活動がわたしたちの考え方や感じ方にとって、なぜ、そしていかに大切なのか」を説明しています。
著者の主張は、以下に集約されています。本書は、それを科学的に実証しながら説明しています。
◆ 運動と脳をつなぐ驚きに満ちた科学をわかりやすい言葉で語り、それが人間の生活にどのような形で現れるかを示す
◆ 運動は認知能力と心の健康に強い影響力を持っている
◆ 運動は、ほとんどの精神の問題にとって最高の治療法だ
とくに、私が感銘を受けたのは、「運動は、わたしたちをストレスから守り、脳の老化をいくぶんでも後戻りさせる」ということです。
さらに、脳の学習機能や気分や不安や注意力にも、運動は大きな影響を及ぼします。
最後に、本書の最初の部分に掲載されている、ギリシャの哲学者プラトンの言葉を紹介します。
「人生において成功するためには、神は人にふたつの手段を与えた。
教育と運動である。
しかし、前者によって魂を鍛え、後者によって体を鍛えよ、ということではない。
その両方で、魂と体の両方を鍛えよ、というのが神の教えだ。
このふたつの手段によって、人は完璧な存在となる。」
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では、今日もハッピーな1日を!