宇都出雅巳氏の本は以前に紹介したが、英語の速読の方法だった。今回は、試験に合格するための合格勉強術だ。原理は同じで、楽に速く読んで、何度も繰り返すということだ。
これを著者は、「速読大量回転法」と称している。速く読むから大量に読めて何度も繰り返せる、回転できるということだ。これは脳の働きに即したやり方で、楽に繰り返し刺激を与えると記憶が進む。
本書では、池谷祐二氏の『記憶力を強くする』(講談社ブルーバックス新書) など、脳科学の専門書も紹介され、行動分析学も駆使して、科学的に試験勉強の方法が説かれている。
試験としては大学入試 (センター試験など)や国家資格試験などを念頭においているが、まずは過去問に触れることを薦めている。過去問は解くものではなく、解答・解説も含めて読むもの、というのが本書の主張だ。
学習を始めた当初は当然、知識も少なく、過去問を解けるはずもないが、読めばよいという。分からないところは飛ばして、そのまま最後まで高速で読んでしまうのがコツだ。
分かるところと分からないところを区別するつもりで読めばよい。2回目は1回目よりは早く読めるようになるし、分からない箇所も減るはずだ。そうして繰り返して読むと、分かるところが徐々に増えていく。
分かるから速く読めるし、早く読めるからどんどん繰り返し読める。こうした好循環が、合格に近づく秘訣なのだ。高速大量回転法の威力だ。
著者自身も、東大入試や行政書士試験、CFP試験 (フィナンシャル・プランナーの上級試験) に、この方法で勉強して合格したということだ。
誰でもやる気になって、試験の合格を勝ち取れる基本原則、読む価値のある一冊だ。自信を持って薦めたい。