『死ぬということー医学的に、実務的に、文学的に』
「人はみな、老いて死んでいく。」― 誰もが避けることのできない「死」というテーマについて、老化や寿命のメカニズム、がんや循環器疾患などの病気、終末期医療、理想的な死に方まで、医学的・実務的な視点からわかりやすく解説した本があります。
本日紹介するのは、1936年東京都生まれ、東北大学医学部卒業後、東北大学加齢医学研究所、東京大学医科学研究所、米国ウイスコンシン大学、WHO国際がん研究機関、昭和大学などで約40年間にわたり、がん細胞や発がんのメカニズムに関する基礎研究に従事。日本癌学会会長、岐阜大学学長、日本学術振興会学術システム研究センター副所長などを歴任し、2011年に瑞宝重光章を受章。『健康・老化・寿命』『iPS細胞』『新型コロナの科学』など多数の著書を持つ医学者の黒木登志夫(くろき・としお)さんが著した、こちらの書籍です。
黒木登志夫『死ぬということー医学的に、実務的に、文学的に』(中公新書)
私たちは誰もが、いつか必ず死を迎えます。しかし、「死ぬということ」が本当はどういうことなのか、いくら考えても簡単には理解できません。
自分自身がこの世からいなくなるという状態を、私たちは経験することができないからです。これまで「生と死」というテーマは、哲学や宗教、文学などの分野で数多く論じられてきました。
本書は、その大きなテーマを、長年にわたってがんの研究に取り組んできた医学者が、医学的・科学的な視点から考察したものです。
著者は、老化や寿命の仕組みを説明するとともに、人間がどのような病気によって死を迎えるのかを具体的に解説しています。
とくに、がん、循環器疾患、糖尿病、認知症など、高齢期に関係の深い病気について、その特徴やリスク、予防、治療などを取り上げています。
また、病気だけでなく、老衰死、在宅死、孤独死、安楽死、終末期医療といった、現代社会が直面する問題についても考察しています。
さらに、残された家族の悲しみや、死後に残される物の整理など、実務的な問題にも目を向けています。
本書の特徴は、医学的な知識だけでなく、短歌や文学、映画、音楽なども交えながら、「死ぬということ」を多面的に考えていることです。
人生100年時代を迎えた今、長く生きることだけでなく、どのように人生の最期を迎えるかを考えることが重要になっています。本書は、そうした問題について、医学的な知識と実生活に役立つ情報を提供してくれる一冊です。
本書は以下の13部構成から成っています。
1.人はみな、老いて死んでいく
2.世界最長寿国、日本
3.ピンピンと長生きする
4.半数以上の人が罹るがん
5.突然死が恐ろしい循環器疾患
6.合併症が怖い糖尿病
7.受け入れざるを得ない認知症
8.老衰死、自然な死
9.在宅死、孤独死、安楽死
10.最期の日々
11.遺された人、残された物
12.理想的な死に方
13.人はなぜ死ぬのか―寿命死と病死
本書の前半では、老化や寿命の仕組みと、健康を維持するための方法について、以下のポイントを説明しています。
◆ 人間は誰もが老化し、やがて死を迎える生物学的な宿命を持つ
◆ 老化と寿命のメカニズムの理解が、死を考える出発点になる
◆ 世界有数の長寿国・日本では、健康寿命を延ばすことが重要な課題となっている
◆ 禁煙、適度な飲酒、運動、健康診断など、日常の健康管理が大切
◆ がんや循環器疾患、糖尿病などのリスクと治療法を正しく理解する
この本の中盤では、高齢期の病気とさまざまな死の迎え方について解説しています。とくに重要なのは、「どこで、どのような最期を迎えたいのか」を、元気なうちから考えておくことです。
延命治療をどこまで希望するのか、痛みや苦しみをどのように和らげたいのか、最期を自宅で迎えたいのか、それとも医療機関や施設を希望するのか。
こうした問題について、自分の価値観を整理し、家族と話し合っておくことが、納得できる最期につながるのではないでしょうか。主なポイントは次の通り。
◆ 認知症は高齢化社会の大きな課題であり、予防や治療とともに、病気を抱えた人をどう支えるかが重要
◆ 老衰死は自然な死の一つだが、その定義や扱いには国による違いがある
◆ 在宅死や高齢者施設での看取りなど、最期を迎える場所には複数の選択肢がある
◆ 孤独死や安楽死は、医学的な問題にとどまらず、社会制度や倫理とも深く関係する
◆ 終末期の延命治療や痛みの緩和を考え、自分の意思を家族や医療者と共有しておく
本書の後半では、死後に残される人々と、理想的な死に方について考察・提言しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 大切な人を失った悲しみ(グリーフ)と、そこからの回復を考える
◆ 人は亡くなっても、残された人々の記憶の中で生き続ける
◆ 死後に残される物や財産は、事前に整理しておく
◆ 理想的な死に方は人それぞれ異なり、自分の価値観に基づいて考える
◆ 寿命による死と病気による死を、医学的・生物学的な視点から理解する
本書を読んで最も印象に残ったのは、「死を考えることは、どう生きるかを考えることでもある」という点です。
人生100年時代には、健康寿命を延ばし、できるだけ長く自立した生活を送ることが大切です。だからこそ、元気なうちから終末期医療や介護、財産の整理などについて考え、家族と話し合っておくことが重要になるでしょう。
また、定年後の人生設計では、長く働くことや資産形成だけでなく、人生の最終段階をどのように過ごしたいかという視点も欠かせません。
本書は、死についての医学的な知識を得ると同時に、これからの人生をより充実させるためのヒントを与えてくれます。
「死を正しく知り、最期に備えることが、今をよりよく生きることにつながる。」
人生100年時代の健康と老後に関心のある人、親の介護や看取りについて考えている人、そして自分自身の人生の最期を見据えて、これからの生き方を考えたい人に、ぜひ読んでほしい一冊です。
YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、ひとり起業、資産形成やライフスタイルなど、仕事と人生を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。
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では、今日もハッピーな1日を!【4259日目】








