『ロンジェビティ・エコノミー:115兆円の「長寿市場」で強く豊かに』
「高齢社会こそ、日本の最大の成長分野になる。」― 世界有数の長寿国である日本では、高齢化が進むことを医療費、介護費、年金などの社会保障負担の増大という側面から捉えることが多くなっています。しかし、長寿を新しい市場や産業、働き方を生み出す成長の機会として捉え直し、日本経済の再生につなげようと提言する本があります。
本日紹介するのは、埼玉県三郷市育ち、明治大学商学部卒業後、広告代理店やライブドア勤務を経て独立し、INCLUSIVE Holdingsを創業、2019年に上場を実現。老舗料亭から人工衛星事業まで幅広い事業を手がけ、2度の国政選挙落選を経て、2026年2月の第51回衆議院議員総選挙で埼玉14区から当選した、経営者で衆議院議員の藤田誠(ふじた・まこと)さんが著した、こちらの書籍です。
藤田誠『ロンジェビティ・エコノミー:115兆円の「長寿市場」で強く豊かに』(小学館新書)
日本は世界有数の長寿国です。人生100年時代と言われるようになり、60代、70代、80代になっても元気に活動する人が増えています。
しかし、長寿社会の議論では、医療費や介護費の増大、年金財政の問題など、負担の側面ばかりが強調されがちです。
著者は、こうした従来の発想を転換し、長寿社会を日本経済の新しい成長エンジンとして捉えるべきだと主張しています。
その背景には、著者自身の壮絶な経験があります。50歳の冬、ステージ4の血液がんと診断され、5年生存率は3割と告げられたといいます。
病室のベッドで著者が書き続けていたのは、遺書でも回顧録でもなく、一本の議員立法案でした。「自分がいなくなっても残る仕組みをつくりたい」
その思いが、長寿社会を支える制度や産業を再設計するという構想につながっています。
本書では、予防医療、高齢者の就労、病気と仕事の両立、介護、住宅、移動、金融など、長寿社会に関わる幅広い分野を取り上げています。
高齢者を単に「支えられる存在」と考えるのではなく、社会に参加し、働き、消費し、新しい価値を生み出す存在として捉えることが重要なのです。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.なぜ日本にロンジェビティ・エコノミーが必要なのか
2.予防医療は「支出」ではなく「投資」である
3.50代、60代、70代の就労を再設計する
4.病気になっても働き続けられる社会へ
5.介護・地域ケアを ”支える分野” から ”育てる産業” へ
6.住宅・移動・金融を長寿前提で組み替える
7.長寿を、負担ではなく希望に変える国へ
本書の前半では、長寿社会を成長戦略として捉える考え方と、予防医療、高齢者の就労について、以下のポイントを説明しています。
◆ 高齢化を社会保障の負担増ではなく、新しい成長市場として捉える
◆ 健康寿命の延伸は、医療費の抑制だけでなく経済活動の拡大にもつながる
◆ 予防医療を単なる「支出」ではなく、将来の社会的利益を生む「投資」と考える
◆ 50代、60代、70代が能力や経験を生かして働ける仕組みを整える
◆ 高齢者の就労を、生活費を稼ぐ手段だけでなく社会参加や生きがいにつなげる
この本の中盤では、病気と仕事の両立や介護・地域ケアの産業化について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 病気になっても、治療を受けながら働き続けられる社会をつくる
◆ 健康状態や年齢に応じて、柔軟に働き方を選べる制度を整える
◆ 高齢者が地域で役割を持ち、社会に貢献できる仕組みを広げる
◆ 介護を家族だけの負担にせず、地域全体で支える体制を構築する
◆ 介護・地域ケアを、雇用や技術革新を生み出す成長産業として育てる
本書の後半では、長寿社会に対応した住宅、移動、金融の再設計と国家戦略について考察・提言しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 住宅の断熱改修やバリアフリー化で、高齢者の健康と安全を守る
◆ 移動手段を確保し、高齢になっても社会参加できる環境を整える
◆ 長寿を前提に、資産形成と資産活用の仕組みを見直す
◆ 医療、介護、住宅、就労を個別ではなく一体の政策として考える
◆ 長寿を社会の負担ではなく、日本の希望と成長につなげる
本書を読んで最も印象に残ったのは、「長寿は負担ではなく、日本の成長戦略になる」という点です。人生100年時代には、定年後も長く働き、社会とのつながりを持ち続けることが重要になります。
そのためには、個人が健康やキャリアを考えるだけでなく、企業や社会の制度そのものを長寿社会に対応させる必要があります。
とくに、病気になっても働ける仕組みや、50代から70代の就労を再設計するという提案は、定年後キャリアを考えるうえでも重要なテーマです。
また、高齢者市場は医療や介護だけではありません。住宅、移動、金融、旅行、学び、仕事など、幅広い分野に新しいビジネスの可能性があります。
高齢者を「支える対象」から「社会を動かす主体」へ。この視点の転換こそが、日本の長寿社会を豊かにする出発点になるのではないでしょうか。
人生100年時代の働き方やライフスタイルを考える人はもちろん、経営者、政策担当者、新しいシニア市場に関心を持つ人にも、ぜひ読んでほしい一冊です。
YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生100年時代の働き方、定年後キャリア、ひとり起業、資産形成やライフスタイルなど、仕事と人生を豊かにする情報を発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。
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では、今日もハッピーな1日を!【4245日目】








