書評ブログ 『働く人が減っていく国でこれから起きること』 jun-ohsugi 2026年6月20日 / 2026年6月20日 「人口減少でモノが売れなくなり、デフレが続く」― そんな従来の常識を覆し、日本はむしろ深刻な人手不足によるインフレ社会に向かうかもしれない。そんな大胆な仮説を提示する一冊です。 本日紹介するのは、1987年生まれ、岩手県出身、2010年東京大学経済学部卒業。2015年デューク大学大学院経済学修士課程修了(経済学修士)、2010年日本銀行入行、調査統計局や企画局などで経済金融調査や金融政策立案に従事。2023年みずほ銀行入社、日本経済や中国・アジア経済の担当を経て、みずほ銀行チーフグローバルエコノミストとして日本経済や金融政策を分析する、河田皓史さんが書いたこちらの書籍です。 河田皓史『働く人が減っていく国でこれから起きること』(朝日新書) 河田皓史『働く人が減っていく国でこれから起きること』(朝日新書) Amazonで見る この本は、FIRE(経済的自立と早期リタイア)、非婚化、人口減少という三つの大きな潮流をもとに、これからの日本経済と社会の姿を分析し、その中で私たちがどう生きるべきかを考察した一冊です。 本書は以下の6部構成から成っています。 FIREしたい若者vs. 人手不足のJTC 1.なぜ働くことが嫌になっているのか 2.みんな「一人」を選んでいる 3.2050年のインフレリスク 「人口3000万人時代」に向けた生き残り策 4.「FIREさせない」は可能か 5.「非婚化を止める」は可能か 6.「人口3000万人」を前提として社会機能を成り立たせるには 本書の前半では、日本人の働き方や価値観が大きく変化している背景が解説されます。主なポイントは以下の通りです。 ◆ 若年層の会社へのエンゲージメントは低下している ◆「働きたくない」という意識が広がっている ◆ FIREへの関心が高まっている ◆ 非婚化や単身化が急速に進んでいる ◆ 生涯独身であれば必要な生活コストは大きく下がる この本の中盤では、人手不足がもたらす経済への影響が分析されます。主なポイントは次の通り。 ◆ FIREによって労働市場から人が消える ◆ しかし消費者としては市場に残り続ける ◆ 人手不足が慢性化し賃金上昇圧力が強まる ◆ デフレではなくインフレが大きな課題になる ◆ 生産性向上なしには社会が維持できなくなる 本書の後半では、人口減少社会における日本の生存戦略が語られます。主なポイントは以下の通りです。 ◆ FIREや非婚化を止めることは容易ではない ◆ 人口減少を前提とした制度設計が必要になる ◆ 生産性を飛躍的に向上させる必要がある ◆ テクノロジー活用が不可欠になる ◆ 少人数でも豊かに暮らせる社会づくりが重要である 本書を読んで印象的だったのは、「人口減少=デフレ」という固定観念に対する挑戦です。 これまで日本では「人が減れば需要も減るので物価は上がらない」と考えられてきました。しかし著者は、人手不足によって供給能力が低下し、むしろインフレが常態化する可能性を指摘しています。 また、FIREや非婚化を単なる個人の選択としてではなく、日本社会全体を変える大きな構造変化として分析している点も非常に興味深く感じました。 私自身、定年後のキャリアや人生後半戦の生き方について研究・発信していますが、本書はこれからの日本を考える上で非常に示唆に富む一冊です。人口減少社会を悲観するだけでなく、その現実を前提にどう生きるかを考えるきっかけを与えてくれます。 YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも、人生後半戦の働き方、資産形成、キャリア戦略、人口減少社会の生き方について発信しています。ぜひチャンネル登録をしてご覧ください。 https://www.youtube.com/channel/UCIwJA0CZFgYK1BXrJ7fuKMQ では、今日もハッピーな1日を!【4125日目】 高齢社会・世界経済・長期予測