「60歳以降、あなたは“どう働く”のか?」ー 30年、40年、それ以上続けてきた会社員生活。定年後も働くのが当たり前になった時代に、私たちは何を基準に働き方を選ぶべきなのでしょうか。

本日紹介するのは、パーソル総合研究所シンクタンク本部 上席主任研究員であり、人事制度改革やタレントマネジメントの専門家として20年以上の実務経験を持つ藤井薫さんによる一冊です。

藤井薫『定年前後のキャリア戦略 ― データで読み解く60代社員のリアル』(中公新書ラクレ)

本書は、50代後半~60代の企業勤め約5000人を対象にした大規模調査をベースに、シニア社員の「働く現実」をデータで明らかにします。感覚論ではなく、実証データ。ここが本書の最大の強みです。

本書は、以下の7部構成から成っています。

1.「ずっと会社員だった60代」は働き続けている

2.やはり気になる処遇の変化

3.管理職気分が抜けない

4.現役のような、そうでないような

5.会社の60代社員活用施策のゆくえ

6.50代、60代でも転職できる?

7.辞めちゃうなんてもったいない!?

 

本書の前半では、「60代会社員のリアル」が浮き彫りになります。とくに印象的なのは、「管理職気分が抜けない」という点。肩書きが変わっても、意識はすぐには変わらない。これは非常にリアル。主なポイントは以下の通りです。

◆ 多くの会社員だった60代は働き続けている(60代前半で89%、60代後半で66%)

◆ 動機は “お金” だけではない

◆ 処遇の変化に戸惑いを感じる

◆ 管理職マインドが抜けきらない

◆ 役割と自己認識のズレが生じる

 

この本の中盤では、企業側の視点が語られます。企業もまた、正解を探している最中で、「60代をどう戦力化するか」は、日本企業にとって重要なテーマです。主なポイントは次の通り。

◆「半・現役」の意識は50代後半から始まっている

◆ 労働力不足深刻化において、60代社員をどう活用するか

◆「働くことを期待されていないおじさん」問題

◆ 60代社員過剰感のループを断ち切る人材マネジメント

◆ 半数以上の企業が60代社員給与の引き上げを検討

 

本書の後半では、個人のキャリア戦略に踏み込みます。「定年はゴールではなく、構造変化」だということです。主なポイントは以下の通りです。

◆ 50代からの準備が差を生む

◆「転職55歳の壁」が存在する

◆ スキルの棚卸しの重要性

◆「年収×勤続可能年数」で考えて現実的な「選択肢」を広げる

◆「お金」×「時間」×「やりがい」のキャリア選択

 

私自身、人生100年時代のキャリア戦略を発信していますが、本書はデータという裏付けをもって、その現実を突きつけます。

60代は “余生” ではない。しかし “現役そのまま” でもない。その中間地帯でどう振る舞い、どう価値を出すか。これは50代にとっても、まさに「明日はわが身」のテーマです。

50代・60代のビジネスパーソンに、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

キャリア戦略やセカンドキャリア設計については、YouTubeチャンネル「大杉潤のYouTubeビジネススクール」でも発信しています。ぜひチャンネル登録もお願いします。

では、今日もハッピーな1日を!【4013日目】