「税金の話は、まだ先」ー そう思っている人ほど、50歳を過ぎてから慌てることになります。

本日紹介するのは、1998年日本経済新聞社入社、東京社会部や大阪社会部の記者として国税庁、東京国税局、大阪国税局、関東信越国税局など国税担当を歴任、日経電子版「くらしと税」を執筆する嘉悦健太さんが書いた、こちらの一冊です。

嘉悦健太『人生100年時代 50歳からの「くらしと税」 ライフステージで学ぶ税金Q&A』(日本経済新聞出版)

本書は、「人生後半」に差しかかる50代以降の人が、必ず直面する税金のテーマを、ライフステージ別に整理した実用書です。実家の空き家、退職金、再雇用、副業、介護、施設入居、夫婦関係の変化、相続や終活――。

どれも「まだ先」と思っているうちに、ある日突然、現実として降りかかってくるテーマです。すべてQ&A形式で構成されており、「このケース、自分にも起こりそう」と思える具体例ばかりです。

本書は以下の6部構成から成っています。

1.自宅と税

2.実家と税

3.定年と税

4.介護と税

5.家族と税

6.終活と税

本書の前半では、自宅や実家といった「不動産」と税金の関係が詳しく解説されます。主なポイントは以下の通りです。

◆ 空き家が「住宅用地」から外れると税金が跳ね上がる

◆ 実家の生前贈与が、かえって将来の税負担を増やすケース

◆ 二世帯住宅でも、条件次第で税制優遇が受けられない

◆ 売却のタイミングで数百万円単位の差が出ることも

◆ 「知らなかった」では済まされない制度の落とし穴

 

この本の中盤では、定年・再雇用・副業といった50代後半から60代に直結するテーマが扱われます。主なポイントは次の通り。

◆ 退職金は「受け取り方」で税額が大きく変わる

◆ 再雇用後の収入と税金の関係

◆ 副業を始めた人が見落としがちな申告ポイント

◆ 年金と給与の組み合わせで注意すべき点

◆ 「働き続ける時代」の税金の基本構造

 

本書の後半では、介護・家族関係・終活という、よりプライベートで避けて通れないテーマに踏み込みます。主なポイントは以下の通りです。

◆ 老人ホームの入居費用が課税対象になるケース

◆ 熟年離婚で生じる税務上の注意点

◆ 孫への支援が相続税に影響する仕組み

◆ 生命保険や寄付の「思わぬ課税」

◆ 葬儀や墓にまつわる税金の誤解

 

本書の価値は、「節税テクニック」を教えることではありません。むしろ、「何も知らずに動くことが、一番の損になる」という現実を、静かに、しかし具体的に教えてくれます。人生100年時代、50歳からの暮らしは、税金と切っても切れない関係になります。

この本は、不安をあおるのではなく、“備えるための地図” を与えてくれる一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【3951日目】