「“顧客に一方的に説明するのではなく、問いかけを通じて信頼を築く”」――そんな逆転の発想から生まれた営業術を体系化した一冊があります。
本日紹介するのは、1965年長野県長野市生まれ、名古屋大学工学部合成化学科卒業後に国内製薬会社へ入社。プロダクトマネージャーとして大型新薬の上市を成功させ、その後は学術部、プロダクトマーケティング部、臨床開発部、教育研修部の部長職を歴任し、営業部門では東京支店長も務めた経歴を持ち、現在は「質問型営業」を軸に営業職やマネージャーの支援に取り組んでいる杉浦敏夫(すぎうら・としお)さんが書いたこちらの書籍です。
杉浦敏夫『説明しない勇気ー医師と面会するMR・MSLの教科書 ー質問型交渉術マニュアルー』(セルバ出版)
本書では、医療現場の最前線で活動するMRやMSLが、医師という“最難関の顧客”と信頼関係を築き成果を上げるための「質問型交渉術」を紹介しています。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.なぜ「説明しない」勇気が必要なのか
2.「質問型交渉術」のフレームワーク
3.交渉のマインドセット
4.反論への対処法
5.謝罪の極意~ピンチこそチャンス!
6.成功するWEB面談
7.法律、規約、コードは怖くない、質問型交渉術
8.マーケティング:医薬品の売れていくための仕組みづくり
この本の冒頭で著者は、「質問型交渉という武器」や「 ”説明しない” という選択」とについて説明しています。
本書の前半では、【基礎編】として、「なぜ説明しない勇気が必要なのか」「質問型交渉術のフレームワーク」および「交渉のマインドセット」について、以下のポイントが説明されています。
◆ 医師の6つのタイプや特徴を意識する
◆ 「質問型交渉術」を支える基本フレームワーク
◆ 利他的な精神がビジネスの核心を成す
◆ マーケティング志向が信頼を」つくる
◆ ポジティブ思考になるための方法
この本の中盤では、【応用編】として、「反論への対処法」「謝罪の極意~ピンチこそチャンス!」および「成功するWEB面談」について、実践に直結するスキルが提示されます。主なポイントは次の通り。
◆ 反論の3分類を想定して対応策を設計する
◆ 反論は ”壁” ではなく、”扉” である
◆ 共感のトリプル(感心・感動・感激)で反論を吸収する
◆ 謝罪で試される「人間力」
◆ WEB面談で大切なのは「話し方」より「見え方」
本書の後半では、【法規・マーケティング編】として、「法律、規約、コードは怖くない、質問型交渉術」および「マーケティング:医薬品の売れていくための仕組みづくり」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ MRの不適切ディールは報告される、信頼を積み重ねること
◆ 交渉の出発点は「お役立ち」
◆ 3C分析(顧客・競合・自社)から戦略を描く
◆ 戦略思考を深めるためのクロスSWOT
◆ マーケティング・ミックスは「戦略のオペレーションパネル」
この本の締めくくりとして著者は、次の「交渉を成功に導く3つの絶対法則」を紹介・説明しています。
第1の法則:相手の立場に立つ・・・まず、相手の世界観を理解せよ
第2の法則:本物が・本気で・本音で
第3の法則:動機が善で、実行過程が善
そして「あなた自身の ”交渉哲学” を持とう」と締めくくっています。
営業現場で行き詰まりを感じている方や、医療業界に限らず “説明の多さ” に課題を抱えるすべてのビジネスパーソンにとって、本書は大きなヒントとなるでしょう。
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では、今日もハッピーな1日を!【3861日目】