書評ブログ

『「マウント消費」の経済学』

「ゆりかごから墓場まで、マウントは絶え間なく続いていくー誰もが心の奥底で『自分が他者よりも価値ある存在であることを実感したい』という欲求を抱えてる。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1986年生まれ、京都大学工学部を卒業後、三菱UFJ銀行に入行、PwCコンサルティング、監査法人トーマツを経て、経営コンサルタントとして独立、2019年に株式会社And Technologyを創業、2021年に株式会社みらいワークスに会社を売却(M&A)して、現在は執筆活動などをしている勝木健太さんが書いた、こちらの書籍です。

 

勝木健太『「マウント消費」の経済学』(小学館新書)

 

この本は、人口減少社会における経済成長の鍵と言える「マウント消費」の活性化について考察している書です。

 

本書は以下の6部構成から成っています。

1.消費の価値は「モノ」から「コト」、そして「マウント」へと変化している

2.「マウント消費」の活性化を通じて、「低成長の時代」を乗り越える

3.マウンティングエクスペリエンス(MX)を活用することで、革新的なサービスを生み出すことに成功した海外事例

4.マウンティングエクスペリエンス(MX)を活用することで、革新的なサービスを生み出すことに成功した国内事例

5.マウント欲求を起点とする事業アイデア~日本が目指すべきは、テクノロジー競争ではなく、「マウンティング発のイノベーション」~

6.イノベーションを「技術の革新」から「欲求の革新」へと再定義する

 

この本の冒頭で著者は、「SNSの普及が、この『1億総マウント社会』をさらに加速させていることは誰もが感じていることだろう。」と述べています。

 

本書の前半では、「消費の価値はモノからコト、そしてマウントへと変化しているおよび「マウント消費の活性化を通じて、低成長の時代を乗り越える」ついて以下のポイントを紹介しています。

◆ マウント中毒、マウント疲労が社会問題に

◆「マウント欲求」を巧みに刺激する仕組み

◆ マウンティングエクスペリエンス(MX)で他社と差別化をする仕掛け

◆ 日本は「マウント先進国」として世界をリードできる

 

◆ 消費は「自己表現」のための手段に

◆ 令和のマウントは「さりげなさ」が9割

◆ これからの時代はITエンジニアより、「MXデザイナー」

◆ すべてのイノベーションは「マウント欲求」に帰結する

 

この本の中盤では、「マウンティングエクスペリエンス(MX)を活用することで、革新的なサービスを生み出すことに成功した海外事例および「マウンティングエクスペリエンス(MX)を活用することで、革新的なサービスを生み出すことに成功した国内事例」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ Apple 信者に「所有すること自体が価値」という魅力を提供

◆ Instagramは「自分らしさ」を際立たせる洗練されたプラットフォーム

◆ Teslaは従来の「高級車」の概念を覆し、「革新的」という新たな体験を提供

◆ リキッド・デス、ハーレーダビッドソン、メゾンマルジェラの新たな価値提供

 

◆ Newspiksは「読むだけの情報」から「自分の知性や価値観をアピール」する場に

◆ 慶應三田会は、最強の「同窓会ネットワーク」

◆ SAPIXは、親の競争心を巧みに刺激する進学塾のトップランナー

◆ NOT A HOTEL は、「所有」から「賢く所有」への価値転換

 

本書の後半では、「マウント欲求を起点とする事業アイデア~日本が目指すべきは、テクノロジー競争ではなく、マウンティング発のイノベーション~および「イノベーションを技術の革新から欲求の革新へと再定義する」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 自然な出会いを演出する「ランイングコミュニティアプリ」

◆ 先祖の物語を紐解いて、自らのアイデンティティを確認する「家系図作成サービス」

◆ インドのスタートアップでのインターン体験で「ハードシングス」を獲得

◆ 小学生向け米国トップ大学視察ツアー

 

◆ デジタル赤字の本質は「マウント赤字」

◆ イノベーションとは、「技術の革新」ではなく「欲求の革新」

◆「マウント消費」を国家戦略に位置付けて日本は米中に巻き返しを

◆ 資本主義を維持するために、「マウント消費」が重要な鍵を握る

 

この本の締めくくりとして著者は、「このMXの可能性をさらに広げるため、筆者が提唱する未来像の一つが『生成AIを活用した1億総クリエイター国家』というビジョンである。」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、「ビジネスの本質は人間を理解することになり、その核心にあるのが『カウント欲求』の洞察である」ことを学び、AI時代を生き抜いていきませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3640日目】