「日本は先進国の中でワースト4位の貧困国である。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1977年東京都生まれ、世界の物乞いや障害者を追った『物乞う仏陀』(文藝春秋)でデビューした作家の石井光太さんが書いた、こちらの書籍です。
石井光太『世界と比べてわかる 日本の貧困のリアル』(PHP文庫)
この本は、途上国の「絶対的貧困」と先進国の「相対的貧困」を解説し、「日本の生活困窮者がどんな状況に置かれていて、どんな困難を抱えているか」という統計だけではなく、その裏にあるリアルに目を向けている書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.住居 コミュニティー化するスラム、孤立化する生活保護世帯
2.路上生活 家族と暮らす路上生活者、切り離されるホームレス
3.教育 話し合う術をもたない社会、貧しさを自覚させられる社会
4.労働 危険だが希望のある生活、保障はあるが希望のない生活
5.結婚 子供によって救われるか、破滅するか
6.犯罪 生きるための必要悪か、刑務所で人間らしく暮らすか
7.食事 階層化された食物、アルコールへの依存
8.病と死 コミュニティーによる弔い、行政による理解
この本の冒頭で著者は、「日本が瀕している数多の社会課題は、ほとんど貧困と関係している。」と述べています。
本書の前半では、「住居 コミュニティー化するスラム、孤立化する生活保護世帯」および「路上生活 家族と暮らす路上生活者、切り離されるホームレス」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 途上国は、スラム、タウン、ダウンタウンに階層ごとに分かれて住む
◆ スラムではバラック(無許可の住居)を建てる
◆ 日本は貧富が入り混じる住宅地
◆ 途上国はスラムでコミュニティを作り、メガ・スラムも
◆ 日本は福祉制度による孤立
◆ ホームレスは、教育課程・企業福祉・家族福祉・公的福祉・自分自身から排除される
◆ 途上国ではコミュニティ仲間が海外へ出稼ぎ
◆ いったん落ちると這い上がれない日本のホームレス
◆ ホームレスの病気は知的障害、発達障害、うつ病などが多い
◆ 途上国では、ホームレス障害者は自然淘汰
この本の中盤では、「教育 話し合う術をもたない社会、貧しさを自覚させられる社会」「労働 危険だが希望のある生活、保障はあるが希望のない生活」および「結婚 子供によって救われるか、破滅するか」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 恵まれた義務教育だが、親の所得による教育格差
◆ 途上国では「生きる」ための授業
◆ 経済格差の中で子供たちの中に生まれる劣等感
◆ 国によって異なる男女の教育格差
◆ 希望の欠けた日本の雇用スステム
◆ 途上国の経済難民
◆ 日本の連鎖する貧困
◆ 喜捨と物乞いが宗教に基づいた最後のセーフティネット
◆ 途上国スラムの早婚
◆ 家族のいない日本のホームレス
◆ 結婚による階層の逆転も
◆ 子供がいては生きていけない社会の日本
本書の後半では、「犯罪 生きるための必要悪か、刑務所で人間らしく暮らすか」「食事 階層化された食物、アルコールへの依存」および「病と死 コミュニティーによる弔い、行政による理解」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 途上国では警察の腐敗と庶民の常習的な違法行為
◆ 日本は犯罪が地下に潜在化しやすい
◆ 日本の刑務所の待遇は貧困者より快適
◆ 人身売買など途上国の貧困ビジネス
◆ 日本の貧困ビジネスは貧困者の福祉による権利をお金に換えるビジネス
◆ 途上国では稼いだお金の大半が食事代に
◆ 日本の困窮死は孤立からくる
◆ 途上国は階層によって食事が分断されている
◆ 日本の炊き出しは栄養価が高い
◆ 日本の加工食品による危機
◆ 途上国貧困者が直面する死のリスク
◆ 日本の低所得者は3倍の死亡率
◆ 日本の医療費3割負担の重みは人によって異なる
◆ 日本の孤独死は毎年3万件
この本の締めくくりとして著者は、「日本は、指導虐待、教育格差、不登校、人工妊娠中絶、家庭内暴力、孤独死など貧困とかかわる多様な課題を抱えている。それらの大半は、人がコミュニティから切り離され、制度に依存することによって、孤立するところからはじまっている」と述べています。
あなたも本書を読んで、日本の貧困のリアルについて学び、対策を考えていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3218日目】