書評ブログ

『ぼけの壁』

「脳の老化の最良の予防薬となるのは、『生きたいように、楽しく生きる』ことです。そうすることが、認知症やボケの進行を遅らせることは、疫学的にはっきりわかっています。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒東京大学医学部付属病院精神神経科助手米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、和田秀樹こころと体のクリニック院長で、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わっている和田秀樹さんが書いた、こちらの書籍です。

 

和田秀樹『ぼけの壁』(幻冬舎新書)

 

この本は、「80歳の壁」の核心部分を乗り越えるため、「認知症」と「老人性うつ」に関する知識(症状、治療法、予防法など)を紹介している書です。

 

 

本書は以下の4部構成から成っています。

 

1.「認知症」という病気を誤解していませんか?

2.「老親がちょっと変!」と感じたときの心得

3.認知症よりも恐ろしいのは老人性うつ

4.「脳の健康寿命」を延ばす考え方・暮らし方

 

 

この本の冒頭で著者は、「高齢者の脳は、日々萎縮し、衰えていきますが、そうした加齢による衰えも、ライフスタイルの改善によって、進行を食い止めることができます。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「認知症という病気を誤解していませんか?」について、次の通り解説しています。

 

◆「認知症」に関する3つの誤解:①急速に進行する病気、②暴れたり叫んだりする病気、③何もかもできなくなる病気

◆ 認知症は完治はできないが、進行を遅らせることはできる

◆ 軽度認知障害(MCI)は5年後に半数は認知症を発症する一方、正常に戻ることも

◆「私はいたって普通」と主張するのが認知症の特徴

 

◆ 認知症の初期ほど迷子になりやすい

◆ 性格が先鋭化するのが認知症の特徴

◆ アルツハイマー型認知症は、認知症の60%を占め、記憶障害・見当識障害・判断力障害という症状があらわれる

◆ その他3つの認知症:①脳血管型20%、③レビー小体型10%、③前頭側頭型5%

 

 

この本の中盤では、「老親がちょっと変!と感じたときの心得」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 認知症の初期、家族は何もせずに「見守る」こと

◆ 患者への接し方や環境を変えない

◆ 一人暮らしの老親を呼び寄せてはいけない

◆ 認知症を加速させる3つの生活習慣:①引きこもり、②運動不足、③無趣味

◆ 認知症の進行を遅らせる3つの習慣:①人との交流、②適度な運動、③趣味

 

◆ 認知症と診断されても、「変えず、やめず、続けること」が大切

◆ 脳を使わないでいると、認知症に似た症状に

◆ 病院まで連れていけるのは家族だけ(予防のためと言って説得)

◆ 認知症には、中核症状と周辺症状がある

 

◆ 中核症状は、①記憶障害、②失行、③失語、④失認

◆ 周辺症状は、行動症状と心理症状に分かれる

◆ 行動症状は、①暴言・暴力、②徘徊、③介護抵抗、④食行動異常

◆ 心理症状は、①抑うつ、②自発性の低下、③不安・焦燥、④妄想、⑤幻覚

◆ 認知症が進行してくると、性格が明るくなり、幸福感を感じ続ける(多幸感)

 

 

本書の後半では、認知症よりも恐ろしいのは老人性うつ」および脳の健康寿命を延ばす考え方・暮らし方」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ うつ病は死にいたる病

◆ 認知症はゆっくり進行、老人性うつは短期間で急に症状が出る

◆ 食欲障害と睡眠障害が同時に出るのがうつの大きなシグナル

◆ 老人性うつは、適切な治療で治る病気

 

◆ 老人性うつは、①身体的不調を訴え、②夕方になると調子が悪い、③周囲が気づきにくく発見が遅れる、の3つが特徴

◆ 老人性うつは、不安や焦燥感が激しく、「つらいね」という共感がクスリ

◆ ストレスがセロトニンを減少させる

◆ 不眠と飲酒がうつを加速させる

 

◆ 老人性うつの予防は、①食生活の工夫(肉、魚、大豆)、②日光に当たる、③社会との接点を持つ

◆ うつになる人は、まじめな努力家で、責任感が強い人

◆ 睡眠不足は脳の大敵、アルツハイマーの原因に

◆ 1日30分の有酸素運動で快眠習慣

 

◆「残っている歯の数」と「認知症発症率」には密接な関係がある

◆ 歯周病がアルツハイマー型認知症の一因になる

◆ 定期的な歯のケアが認知症の改善につながる

◆ ものを噛むと、歯の歯根膜に圧力がかかり、脳を刺激する

 

◆「人付き合い」こそ最高の脳トレ

◆ 筋肉量が脳の若さを決める

◆ 脳の健康寿命を延ばす「20の動詞」

◆ 笑う門にボケはやってこない

 

 

この本のもとになっているベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎新書)および『70歳の正解』(幻冬舎新書)も良書で、併せて読むことをお薦めします。

 

 

あなたも本書を読んで、「80歳の壁」を越える核心部分である認知症や老人性うつを防ぎ、「脳の健康寿命」を延ばしていきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3006日目】