「世の中で起こることのすべては、トレードオフの関係にあります。何かを得ようとすれば、何かを捨てなくてはなりません。人生もビジネスにおいても同じことです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1948年三重県生まれ、京都大学法学部を卒業、日本生命保険相互会社に入社、同社を退職後に60歳で起業してライフネット生命保険株式会社を創業して上場、同社社長・会長を10年務めた後、立命館アジア太平洋大学(APU)学長となり、その後2021年1月に脳卒中を発症して約1年の休職の後、校務に復帰した出口治出口治明さんが書いた、こちらの書籍です。
出口治明『「捨てる」思考法 結果を出す81の教え』(毎日新聞出版)
この本は、主に20代から40代のビジネスパーソンに読んでもらうために、「捨てる」ことの重要性を具体的な例を示しながら解き明かしている書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.「捨てられない」は思い込み、捨てることが未来をつくる
2.余計なものを手放す習慣を身につける
3.余計なものを手放して、本当に必要なものを見極める
4.捨てるモチベーションは、退路を断つことから生まれる
この本の冒頭で著者は、「岐路に差しかかったとき、右の方向に進もうとすれば、左の道を進むことは永遠にできない。何か一つを得ようとするとき、人は必ず何か一つを失う。日常生活においても、そのようなトレードオフの場面にひんぱんに出合います。」と述べています。
本書の前半では、「捨てられないは思い込み、捨てることが未来をつくる」について、以下のポイントを説明しています。
◆ トレードオフとは優先順位を見極めること
◆「あきらめる=捨てる」ことから次の一手が始まる
◆ リーダーは器を空にせよ
◆ 従来のサービスを捨てれば競争力がアップする
◆ こだわりを捨てれば仕事はうまくいく
◆ 捨てるために必要なのは、「悟り」ではなく「知識」
◆ 世界を変えるのは空気を読めない冒険者
◆ 人間は、常に運という名の偶然に対する適応力が問われている
◆ 人生も旅と一緒で、身軽なほうが絶対に動きやすい
◆「本・旅・人」で学んだ点と点が、思わぬところで線としてつながる
この本の中盤では、「出口式・捨てる技術【基礎編】余計なものを手放す習慣を身につける」および「出口式・捨てる技術【応用編】余計なものを手放して、本当に必要なものを見極める」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 時計とカメラを捨てれば視野が広がる
◆「いつまでに(時間)」と「どのくらい(分量)」をマイルールとして決めてしまう
◆ 怒りを捨てれば仕事がスムーズに進む
◆ 心身を守るには、根拠なき精神論と我慢を捨てる
◆ 忖度を捨てれば会議は円滑に進行する
◆ 人が人を育てるのではなく、仕事が人を育てる
◆ 人間はみなチョボチョボ、格好をつける生き方を捨てる
◆ 大事な決断ほど「熟慮」を捨てる
◆「タテ・ヨコ・算数」で色眼鏡を捨てる
◆ 真偽が怪しい定説を捨て、ファクトを見出す
◆ 長時間労働を捨てれば、イノベーションが加速する
◆ 新卒一括採用を捨てれば、労働の流動化が進む
◆ アンコンシャス・バイアスを捨てるのは、行動あるのみ
◆ 定年制を捨てれば、高齢者は健康でいられる
◆ 転勤制度を捨てれば、地域リーダーが育つ
◆ 既存知を捨てて個性を活かせば、新機軸が生まれる
本書の後半では、「捨てるモチベーションは、退路を断つことから生まれる」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ たくさんの本を読み、広い世界を旅して、多くの人と出会うこと
◆ 取捨選択能力は「本・旅・人」で養われる
◆ 安定を捨てて未知の世界で適応力を磨けば、人間は進化する
◆ 記憶力向上にはインプットを減らしてアウトプットを増やす
◆ 遊び気分を捨てて学ぶのが旅の極意
◆ 左遷は確率の問題、精神論を捨てれば人生は好転する
◆ 持ち家とお金に執着せず、ゴルフ道具を捨てて得た快適な暮らし
◆ 本屋という世界を旅する楽しさ
この本の締めくくりとして著者は、「無駄を捨てることは、新しい社会を生むこと。未来への投資です。」と述べています。
あなたも本書を読んで、トレードオフの極意である「捨てる思考法」を学び、仕事や人生を好転させてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2861日目】