「仏像もその日その時で見栄えがまるで違う。絵はがきを買おうが、図版を手に入れようが、その日その時誰と見たかで姿を変えるのである。つまり、人生の道草具合によって記憶は変わってしまう。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1961年東京生まれ、早稲田大学卒業後、編集者を経て1988年作家デビュー、TV出演、音楽活動をはじめ、クリエイターとして各メディアで活躍するいとうせいこうさんと、1958年生まれ、武蔵野美術大学在学中の1980年に漫画家デビュー、イラストレーター、作家、エッセイスト、ミュージシャンと幅広く活動するみうらじゅんさんが書いた、こちらの書籍です。
いとうせいこう・みうらじゅん『見仏記 道草篇』(角川文庫)
この本は、2017年から翌年まで続いた旅の記録で、いとうせいこう、みうらじゅんのコンビで、ぶらりと寺へ行き、仏像について話す「見仏」の紀行で、還暦を目前にしたタイミングでのシリーズ8作目です。
本書は以下の14箇所にある寺の「見仏」から構成されています。
1.長野 西光寺・善光寺
2.長野 清水寺・高山寺
3.長野 智識寺・長雲寺
4.群馬 慈眼院・達磨寺
5.大分 文殊仙寺・両子寺
6.大分 長安寺・天念寺
7.大分 熊野磨崖寺・真木大堂
8.大分 富貴寺・宇佐神宮
9.青森 長勝寺
10.青森 西福寺・最勝院・久渡寺
11.青森 恐山菩提寺
12.中国 四川省
13.中国 四川省 按引寺・華厳寺
14.中国 四川省 報国寺
この「見仏」シリーズは、30年にわたり、著者ふたりで各地の寺を訪ねて仏像を見て話す「見仏」の旅行記で、今回が最新刊のシリーズ第8弾となっています。
「道草篇」と題する本書は、寺に向かう道中での道草に関するエピソードが満載で、いとうせいこう、みうらじゅんのトークがリアルに再現されています。
各地の仏像を見た詳細は、ぜひこの本を手に取ってお読みいただきたいのですが、とくに印象的な道草シーンは次の通りです。
◆ 今も紙芝居で仏の功徳を伝える長野・西光寺
◆ 先々代住職が見事な仏具をDIYした高山寺
◆ ダルマニアンの聖地の群馬・達磨寺
◆ 美しい阿弥陀の大分・富貴寺
◆ 背筋が凍る独自の信仰の青森・久渡寺
◆ 絢爛な仏たちの中国・四川省・報国時
この本の締めくくりとして著者は、「この熱気、またはこのゆるさ、この自由な表現、みうらさんの絶妙な名言迷言などなど、そのバランスのよさは『見仏』シリーズの頂点に違いない」と述べています。
あなたも本書を読んで、「見仏」の魅力と醍醐味を体験してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2781日目】