「60歳定年は引退を意味するのではなく、すでに『定年再雇用への変更』や『自律した職業人生への転換点』へと大きく変貌を遂げている」と述べて、「変貌するシニアの働き方」を24人のロールモデル事例を通して描いている本があります。
本日紹介するのは、1963年京都府生まれ、同志社大学経済学部を卒業後、生命保険会社へ入社、ジェネラリストとして様々な業務を体験し、本部と販売現場の両面で管理職として多様な職種の人材育成に携わって、2016年に関連会社へ出向してキャリア研修の企画・販売に従事、現在は一般社団法人「定年後研究所」所長、キャリアコンサルタントの池口武志さんが書いた、こちらの書籍です。
池口武志『定年NEXT 「繋ぐシニア」24人のロールモデルに学ぶ』(廣済堂新書)
この本は、「定年」というのは引退ではなく、現実にはキャリア人生の後半に向けたスタート地点になっている「定年NEXT」という問題意識のもとで、異質な世界で、自ら培った経験や人脈、その人が持つ人間性を駆使して「お役に立つ不可欠な存在」として、また、何かと何かを繋ぎ、新しい付加価値を創造する「リエゾン」(架け橋)シニアとして活躍している24人の生き方、働き方に学び、未来を切り拓くための指南書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.「定年NEXT」とは何か?
2.期待と不安が交差する「70歳就業時代」の到来
3.「転機を乗り越えて」新たな世界で輝く不可欠な存在に
4.「誰かのために」奔走する、繋ぐミドル・シニア
5.「地方のために」自らの蓄積を還元する
6.企業を支える「社内リエゾンシニア」
7.「自分だけのリエゾンシニア」になってみませんか?
8.特別対談 厚生労働省職業安定局高齢者雇用対策課長・野崎伸一氏に聞く「働くシニアと企業のこれから~自らの副業体験で見えてきたこと~」
この本の冒頭で著者は、「ミドルシニア期以降もイキイキとお仕事を続けられている多彩なリエゾン(架け橋)シニア」はいずれの方も自らの意思で自らの人生を切り開く「自走人生」を歩まれている、と述べています。
本書の前半では、「期待と不安が交差する70歳就業時代の到来」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ AIの発達やロボット化により、人間関係構築力に長けたシニアの役割は拡大
◆ 高齢者の身体的機能は、ここ20年で15歳程度若返り
◆ ミドルシニアへの企業人事目線は両面あり(モチベーションダウン層と積極活用)
◆ 60代社員も頑張りが評価される時代
◆ ジョブ型人事制度の適用対象は中高齢世代
この本の中盤では、「転機を乗り越えて新たな世界で輝く不可欠な存在に」「誰かのために」奔走する、繋ぐミドル・シニア」「地方のために自らの蓄積を還元する」および「企業を支える社内リエゾンシニア」というテーマで、24名のリエゾンシニアを紹介・説明しています。主なポイントは次の通り。
◆ 親の介護、自身の病気、配置転換、役職定年、退職勧奨などの転機
◆ 無関係な存在を繋ぎ、新しい付加価値を創造
◆ 都市と森林、家族と看護師、YouTubeと紙のビジネス書、企業とNPO、障がい者と企業、子育て親子と地域社会
◆ 地方の中小零細企業をサポート
◆ 社内外の環境変化を乗り越え、自らの役割変化に対応
また、紹介されている24人のロールモデルの方々(敬称略、年齢は取材当時)は次の通りです。それぞれの詳細についてはぜひ、本書を手に取ってお読みください。7番目として、私 大杉潤も「リエゾンシニア」として紹介いただきました。
◆ 渡邊泰治(60歳)
◆ 髙橋巌(67歳)
◆ 遠藤真司(65歳)
◆ 加藤真(68歳)
◆ 長谷川元宏(57歳)
◆ 本田恭助(64歳)
◆ 大杉潤(63歳)
◆ 手塚明美(70歳)
◆ 一力廉(74歳)
◆ 西川由喜(58歳)
◆ 続谷恵二(73歳)
◆ 小林悦子(63歳)
◆ 河田哲也(67歳)
◆ 奥山千鶴子(59歳)
◆ 左近充ひとみ(61歳)
◆ 稲村浩二(60歳)
◆ 百瀬伸夫(69歳)
◆ 保田邦雄(76歳)
◆ 神林孝一(67歳)
◆ 神健一(44歳)
◆ 田村定三(63歳)
◆ 三木勝也(63歳)
◆ 千葉晃久(57歳)
◆ 田中豊(55歳)
本署の後半は、「自分だけのリエゾンシニアになってみませんか?」および「特別対談 厚生労働省職業安定局高齢者雇用対策課長・野崎伸一氏に聞く『働くシニアと企業のこれから~自らの副業体験で見えてきたこと~』」について、以下のポイントを説明しています。
◆ リエゾンシニアが蓄積してきた資産は、①人的資本、②社会的資本、③心理的資本
◆ リエゾンシニアを支えるモチベーションは、①社会善の追求、②他者援助志向(人と繋がりたい)、③いつまでも成長したい
◆ WILL、CAN、NUSTで自分の将来戦略を練る
◆ キャリアを重ねた中高年は「自己理解」が大切
◆ 企業の人材育成は、閉鎖系から開放系へ転換
◆ 企業の人材育成は、年齢軸から人物軸へ転換
◆ リーダーシップの変質(聞く力、周囲に頼る、周囲をモチベート)
◆ 自分が何をやりたいかを重視して「天職」を見つける
◆ 自発的な「学び」が仕事でも生きる
この本で提唱している、人と人、組織と組織を繋ぐ「リエゾンシニア」という生き方は、人生100年時代を展望して拙著3冊で提案した「トリプルキャリアによる生涯現役」やそのための「定年ひとり起業」という働き方、生き方と共通する部分が多く、強く共感しました。
あなたも本書を読んで、「繋ぐシニア」24人のロールモデルの中から、自らに合う人を見つけて、定年後の「自分だけの働き方」を考えてみませんか。
2022年5月19日に、『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第230回】定年NEXT「繋ぐシニア」24人のロールモデルに学ぶにて紹介しています。
ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2756日目】