書評ブログ

『認知症に備える』

「認知症対策は元気なうちに、そして70代の足音が聞こえてくる前に行ってほしい」と提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、ノンフィクションライター中澤まゆみさんと、司法書士で、認知症対策の相談件数が延べ1300件以上という村山澄江さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

中澤まゆみ・村山澄江『認知症に備える』(自由国民社)

 

 

 

この本は、家族や自分が認知症になっても安心して暮らしていくために知っておきたいことを記した書です。

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

1.実は誤解だらけ? 認知症を正しく理解しよう

2.認知症は「病名」ではなく「状態」です

3.認知症の人を介護する前に知っておきたいこと

4.認知症になる前に知っておきたいお金と法律の話

5.成年後見制度の賢い利用方法

6.家族信託を認知症対策として利用する方法

7.[実録] 認知症の人の家計と収支の状況

 

 

この本の冒頭で著者は、「団塊世代が75歳以上になる2025年には、認知症の人は700万人(5人に1人)。認知症の前段階とされるMCI(軽度認知障害)を含めると、高齢者の3人に1人は認知症にかかわってくる」と述べています。

 

 

そして「認知症はだれでもなる可能性のあるもの」という視点から制定された東京・世田谷区の条例を紹介しています。その「4つの視点」は次の通り。

 

◆ いままでの認知症の考え方を変える

◆ みんながこの先の「そなえ」をする

◆ ひとりひとりが希望を大切にしあい、ともに暮らすパートナーとして支えあう

◆ 認知症とともに今を生きる本人の希望と、あたりまえに暮らせること(権利・人権)をいちばん大切に

 

 

本書の前半では、「認知症の正しい理解」および「認知症は『病名』ではなく『状態』である」ことが分かりやすく説明されています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 認知症になったらスムーズにできなくなる手続きがある

◆ 自宅(不動産)売却、定期預金解約、相続手続きは困難に

◆ 認知症では本人の声を聞き、好きなことを増やし、嫌なことをしない

◆ 認知症は「早期発見・早期治療・早期対応」が大切

 

◆ 早期発見のポイントは、もの忘れ、判断力・理解力の低下・時間・場所の不明、人柄の変化、不安感上昇、意欲低下

◆ 認知症には「中核症状」と「BPSD(周辺症状)」がある

◆ BPSDは、認知症の中核症状で起こる記憶障害や判断力低下による「不安や混乱」

◆ 認知症薬のリスクをしっかり把握する

 

 

この本の中盤では、「認知症の人を介護する前に知っておきたいこと」および認知症になる前に知っておきたいお金と法律の話」について、以下のポイントを挙げて解説しています。

 

◆ 介護保険サービスの利用を申請する

◆ 認定調査を受け、ケアマネジャーと一緒にケアプランをつくる

◆ 介護保険で使える在宅介護サービスを把握する

◆ 自治体独自のサービスも利用する

 

◆ 制度を上手に使って、介護・医療費を削減する

◆ 認知症の人が使える障害者のための制度がある

◆ 在宅医療を上手に利用する

◆ 認知症の人の介護施設の選択肢を理解する

 

◆ 高齢者の財産管理と相続対策では、生前贈与、遺言、エンディングノートがある

◆ 遺言作成にはポイントがある(判断能力があるうちに、遺言執行者、遺留分など)

◆ 自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

◆ お金をかけす、今すぐにできる「財産整理」(クレジットカード解約など)

 

 

本書の後半では、「成年後見制度の賢い利用方法」「家族信託を認知症対策として利用する方法」および「家族信託を利用する方法」について解説しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 成年後見制度は「最終手段」

◆ 法定後見制度には、「後見」「補佐」「補助」の3種類

◆「後見人をつくてください」と言われたら、推定相続人全員の合意を取りつけた人を候補者として選ぶのがコツ

◆ 法定後見制度にかかる費用は、司法書士に依頼して10~20万円程度

 

◆ 任意後見は元気なうちに信頼できる人と契約を締結しておく

◆ 任意後見制度にかかる費用は、自分なら5万円程度、外注なら10~20万円程度

◆ 家族信託なら、柔軟な財産管理ができる

◆ 家族信託なら、資産の段階的引継ぎができ、共有不動産のリスクも回避できる

◆ 家族信託におかかる費用は、コンサルティング料で30万円から、不動産が多額の場合に利用

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「認知症の人の家計と収支の状況」について、実際のケースを紹介しています。主な内容は以下の通りです。

 

◆ 80代男性ひとり暮らし、認知症(要介護5): 年間支出140万円(不足35万円)

◆ 80代女性有料老人ホーム入居(要介護2): 年間支出344万円(不足193万円)

◆ 80代女性有料老人ホーム入居(要介護2): 年間支出516万円(不足100万円)

◆ 90代女性特別養護老人ホーム入居(要介護5): 年間支出98万円(不足76万円)

 

 

本書には巻末資料として、「認知症・成年後見・家族信託についての相談窓口」および「認知症になった本人が書いた本」が掲載されています。

 

 

あなたもこの本を読んで、家族や自分が認知症になっても安心して暮らしていくために知っておきたい大切なことを学んでみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2610日目】