本日は、人生初のセミナー開催の日だ。「トライアル勉強会」 という位置付けで、「読書交流会」 を行う。前半は、お気に入りの推薦本を紹介するスピーチと質疑・討論を5名行って、投票により最も読みたくなった 「チャンプ本」 を決定する趣向だ。
後半は、ワンポイント講座の形で、私、大杉 潤が 『年間300冊読む多読法 – なぜ読書なのか』 と題するセミナーを実施する予定だ。
そこで本日は、昨日に続いて私の多読法に最も近い、齋藤孝氏の 「読書術」 に関する書籍を紹介したい。この本は、齋藤氏が若い時に 「あったらいいな」 と感じていた 「速読法を教えてくれる塾」 というコンセプトで記した書だ。
構成は以下の5部から成るが、5日間の塾の講義になるように、話しかける言葉で書かれている。
1.何をどこまでめざせばいいのか – 速読・多読の目標
2.勇気をもって飛ばし読み – 二割読書法とは何か
3.誰でも今すぐできる速読術
4.速読上級者用プログラム
5.速読を生活にうまく組み込んでいく方法
本書の中で述べている速読・多読に関する著者の考え方について、とくに以下の点について、私は強い共感を覚えた。と言うより、私の速読・多読の方法やコンセプトと全く同じなのだ。
1.速読・多読できると 「理解力」 が速くなる
2.理解力のレベルには次の三段階がある
C レベル : 読んでも内容を忘れる
B レベル : 内容把握はできて 「要約力」 はある
A レベル : 新たな価値を付与してオリジナルのアイデアや提案・見方が出せる
3.A レベルの理解力は、要約してコメントできるレベルで、「速解力」 があるレベルだ
4.期間限定・場所限定で本を読むと速読・多読の技術が磨かれる
(本を買った直後に喫茶店ですべて読んでしまうのがよい)
5.” a book ” ではなく、” books ” という、本の塊りで読むと理解が深まる
上記の5について、齋藤氏は、「系譜で読む」 と表現しており、1冊の本は他の本とつながっている、と説いているが、私もまったく同感だ。
ある著者の本をすべて読むことで、著者の考え方や発想をまるごと理解することは、得るものが大きい。私もよくやる読書法だ。齋藤氏は 「著者勝負で読む」 とも表現している。
また著者は、読書の際には 「視点移動」 が大切で、著者の視点に成り切って書籍のエッセンスを理解すること。言い換えれば、相手の立場に立って柔軟に考え方を受け入れることだ。
自分以外の著者の視点で読むことで、新しい見方や概念を吸収できる。齋藤氏によれば、「たくさん読む人の方が、読まない人よりタフで柔軟な考え方ができて、理解力がある」 という。
知性とは、視点移動ができる 「素直さ」 であり、先入観や凝り固まった自分の考えに固執しないことだ。
また、アウトプットを前提にして本を読むことで、速く多く読書ができるので、そういう仕組みを作って逃さないことが大切だ、と著者は述べている。
最後に 「音読」 の効用についても、著者の考え方と私の実践は見事に一致している。齋藤氏は、『声に出して読みたい日本語』 というベストセラーで知られるほど、音読の提唱者だ。
また、身体論の研究を行う専門家でもある。音読と身体リズムは通じるものがあり、それが記憶力とも密接に関連している。「経験記憶」 を活用することで、読書もほんとうに使える知識になってくる。
読書については、情報社会で変化の激しい現代において、世界的にブームになりつつある。先が読めない時代だからこそ、多様性を学び、理解力を速く広くすることで、生きる力が養われるのだ。
速読・多読によって人生を切り開きたいすべての人々に、本書を心から推薦したい。