「2020年代を一言で語るならば、『人口減少に伴う課題が、いよいよ深刻化する時代』-私にはそう思われる。」と述べて、新書『未来の年表』シリーズの図解版として、2020年代を歩む際のガイドブックとして、新書3冊の内容をさらにシンプルに再編した本があります。
本日紹介するのは、1963年生まれ、中央大学卒業の作家、ジャーナリストで、人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授の河合雅司さんが書いた、こちらの書籍です。
河合雅司『全予測 2020年代の日本 図解・未来の年表』(講談社)
この本は、次の3冊の新書版『未来の年表』シリーズの内容を、「さらにする」「もっと深める」「まだ間に合う」をキーワードにして、「新・人口減少カレンダー」となる新しい内容を盛り込み、シンプルに再編した書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.「未来の年表」2020
2.「未来のカタログ」2020
3.「未来の地図帳」2020
この本の冒頭で著者は、「新・人口減少ァレンダー」を掲載していて、とくに勤労世代である20~64歳人口の減少が大問題となります。主なカレンダー内容は以下の通りです。
◆ 2028年 トラックドライバーが27.8万人不足し、荷物が届かない
◆ 2030年 パイロットの大量退職で、航空ダイヤが混乱する
◆ 2039年 国民の5人に1人が75歳以上となる
◆ 2045年 総人口の55.2%が三大都市圏にのみ居住(東京圏31.9%)
◆ 2049年 100歳以上人口が50万人を突破(51.4万人)
◆ 2050年 全国民の7割(7,134万人)が「災害リスク地域」に居住
◆ 2054年 75歳以上人口がピークに達し、病院がパンク(2,449万人)
◆ 2055年 要介護認定者数が1,000万人を突破(1,016万人)
こうした「日本の人口減少」が加速する要因を象徴するデータとして、2020年に「日本人女性の2人に1人が50歳以上になる」という事実があります。
そして、次の3つの理由により、2020年には独居世帯が3分の1を占める「ひとり暮らし社会」元年になる、と著者は予測しています。
◆ 子供と同居しない高齢者が増加
◆ 未婚者の増加
◆ 離婚の増加
続いて、2024年は転機になる年で、団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となることから、この年は6人に1人が75歳以上の「超・高齢者大国」になります。
このほかにも、以下のような衝撃的な予測が次々に紹介されています。
◆ 輸血用血液が不足して、がん治療に支障(2027年)
◆ 銀行、大学、老人ホームが地方から消える(2030年)
◆ 全国の住宅の4戸に1戸が「空き家」になる(2033年)
◆ 団塊ジュニアが高齢者となり、高齢者が4,000万人のピークの「日本最大のピンチ」に(2042年)
本書の中盤では、「未来のカタログ」として、社会の様々な不具合が露呈することを展望しています。主な予測は次の通り。
◆ 80代が街に押し寄せ、電車・バス・窓口・売り場が大混乱
◆ 学校の統廃合で、スポーツ大会が中止に
◆ 老後資金を貯められない団塊ジュニアの「ビンボー定年」が増大
◆ 日本企業の半数が後継者のいない「大廃業時代」に
この本の最後で著者は、「47都道府県は維持できない」として、日本の各エリアがどのように変貌するかという予測を提示しています。ポイントは以下の通りです。
◆ 東京は「二重構造の一極集中化」が起きて、人口減少・高齢化地区と若年層が増える地区に二分
◆ 東京近郊の都市では、介護需要が激増(川崎市・さいたま市・福岡市は人口が増える政令指定都市)
◆ 三大都市圏で「ひとり負け」の関西圏
◆ 若者と外国人を呼び寄せる名古屋市
◆ 高齢化率50%超の「限界自治体」が全国111カ所に(2025年)
本書の締めくくりとして著者は、「人口減少」が止まらない日本で、「戦略的に縮む」という発想の切り替えが必要で、次の3つの観点を提示しています。
1.豊かさの維持
2.優秀な若者に「遊び」を許す努力
3.コンパクトな街づくり
あなたも本書を読んで、人口減少が加速していく「2020年代の日本で生き抜くガイド」を手に入れて、今後の生き方を考えてみませんか。
2020年11月8日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第162回】未来の年表シリーズ3冊を統合した決定版「全予測・2020年後の日本」にて紹介しています。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!【2411日目】