吉越浩一郎氏は、トリンプ・ジャパンの元社長で、19年連続の増収増益を達成した伝説の経営者だ。早朝会議など、残業ゼロの効率的な働き方を実践し、会社を好循環の高収益会社に蘇らせた。
また、共著者の立花岳志氏は、吉越氏をメンターとして尊敬し、吉越氏の唱える 「デッドライン仕事術」 を実行して成果を上げた経験を持っている。また立花氏は、人気ブログ 『No Second Life 』 を運営し、ノマド・ワーキングを実践する経営者だ。
本書は、吉越浩一郎氏が提唱する 「デッドライン仕事術」 を冒頭で改めて吉越氏が要約・紹介し、その後に、フリーになった立花氏が 「デッドライン仕事術」 をどのように実践しているかを具体的に記した書だ。
本書は、吉越氏から立花氏への 「デッドライン仕事術をデジタル化せよ!」 という指令に答えた書と言える。フリーランスのノマドワーキング・スタイルで仕事をするブロガーの立花岳志氏が、自分の仕事環境をすべて 「デッドライン仕事術」 に適合するように再構築したものだ。
本書の構成は以下の6部から成っている。
1.なぜデッドライン仕事術が優れているのか
2.吉越さんからの指令!「デッドライン仕事術をデジタル化せよ!」
3.計画・実行・結果 デッドライン仕事術を回す技術
4.Evernote と ScanSnap をコアにした使えるペーパーレス!
5.クラウド時代の 「会議」 の技術
6.ひらめきも気合もデジタル化!
立花氏は Mac 愛用者として知られ、 i Phone アプリにも詳しく、様々なアップル製品のガジェットを使いこなしている。もともとブログでもアップルの新製品をレポートした記事が人気だったほどだ。
本書でも、そうした立花氏の使いこなし術が随所に発揮されている。とくに私の印象に残っているのは、60年計画のくだりだ。立花氏の別の著書でも触れられているが、ライフログへの傾倒が特徴だ。
人生の計画を、①仕事、②家庭、③財産、④教養、⑤健康、⑥趣味、の6分野に分けて、5年毎の計画として更新し続けている。計画の最終期限は変更しないが、途中の計画は進捗によって柔軟に見直していくのが続けるコツらしい。
私も以前、活用していた米国の伝説のトップ保険セールスマンでモチベーターのポール.J.マイヤー氏が開発した 「SMIプログラム」 に似た人生6分野にわたるトータルパーソンを目指すメソッドと共通するものがあって共感した。
本書の巻末には、吉越浩一郎氏と立花岳志氏との対談も収録されていて、興味深い。効率的に仕事を進めて結果を出したいビジネスパーソンやフリーランスの起業家にはぜひ読んで欲しい一冊だ。心から推薦したい。