「人生100年時代というけれど、あと20年もいまの仕事を続けられるのか」と問いかけ、逃げ切れない世代のキャリア改造計画を提示している本があります。
本日紹介するのは、早稲田大学法学部を卒業後、大手メーカーを経てリクルートへ入社、企業や官公庁、大学などへの提案活動をしたのち起業し、現在は株式会社クオリティ・オブ・ライフ代表取締役の原正紀さんが書いた、こちらの書籍です。
原正紀『定年後の仕事は40代で決めなさい 逃げ切れない世代のキャリア改造計画』(徳間書店)
この本は、「みなさんの人生の質=クオリティ・オブ・ライフの充実」をミッションとして書かれたものです。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.10年後の現実
2.これからの4つの働き方
3.自分の軸を持つ唯一の方法
4.継続雇用という選択
5.転職という選択
6.兼業・副業という選択
7.独立(フリーランス)という選択
8.独立(起業)という選択
9.キャリアの選択と大事な4要素
10.自分だけの輝く道へ
この本の冒頭で著者は、キャリアと多重化と多角化が進んでいて、「会社」から「自分」へと軸を変える必要がある、と提唱しています。
そうした中でまず、次の「3つの未来予測」をして、自分の未来をイメージすべき、としています。
◆ 人口の変化
◆ テクノロジーの進化
◆ 働き手のグローバル化
この中ではとくに、ITの進化・浸透が私たちの生活をよりよくしていく「デジタル・トランスフォーメーション」(DX)が重要で、私たちの働き方にも大きな影響を及ぼしています。
そして、自分の人生は自分で創るという心構えと行動を、と著者は呼び掛けています。具体的には「自分戦略」です。
但し、そこには以下の「4つの壁」が立ちふさがるとこの本では警鐘を鳴らしています。
◆ 意識の壁
◆ 思考の壁
◆ 行動の壁
◆ 能力の壁
そしてこの「4つの壁」を乗り越えるには、次の5つの手順による、未来へのキャリアデザイン思考が有効だとしています。
1.自己分析、自分自身の棚卸、価値観の再確認
2.環境変化やビジネス進化の理解と未来社会の予想
3.自分自身の可能性やありたい姿の考察
4.自分自身が選ぶべき選択肢の列挙
5.自分の道の選択とそれに向けての行動計画立案
また、ミドル・シニアのセカンドキャリアとして、現代では「現在の職業で展開していくか(現職)、新しい職業を選択するか(新職)」という軸と、「組織よりの働き方(雇われる)か、個人よりの働き方(雇われない)かという軸の「2軸」で、以下の4象限が選択できます。
1.継続雇用(現職で組織よりの働き方)
2.転職(新職で組織よりの働き方)
3.兼業・副業(現職で個人よりの働き方)
4.独立・起業(新職で個人よりの働き方)
以上のうち、どの働き方を選択するかについては、「自分軸」を持つことが大切で、その唯一の方法は、以下のフレームワークを使った自己分析だ、と著者は言います。
◆ 自分史分析、ライフラインチャート
◆ 価値観分析
◆ 自分BS(バランスシート)
◆ PEST環境分析
◆ 自分SWOT
◆ 3つの軸、ジョハリの窓
本書の後半で著者は、ライフキャリア(プライベート)とワークキャリア(オフィシャル)から成る人生を充実させる4要素として、次の4つを挙げています。
◆ 健康
◆ 資産
◆ 能力
◆ 人間関係
この本の最後で、著者はかつて守本憲弘さんとの共著にて刊行した『人生二毛作社会を創る』(同友館)という本を紹介しています。
またそこからさらに発展して、20歳、40歳、60歳でのキャリア・トランジション(キャリア転換)を行うトリプルキャリアを提唱しています。
それに対して、私が昨年出版した『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)で提唱している「トリプルキャリア」は、会社員としての働き方(定年前後:50代後半~65歳の間まで)、雇われない働き方(体力の衰え前後;70歳~80歳の間まで)、その後の理想の働き方(時間や場所を限定し、好きなことだけを仕事にする方)のトリプル・キャリアです。
著者の原正紀さんは、『選択の科学』(シーナ・アイエンガー著・文藝春秋)に出てくる「人生は運命・偶然・選択の3つで成り立つ」という指摘について、「運命」は変えられない、「偶然」は仕掛けられるが不確定、そして「選択」だけが明確に私たちにできる、と述べています。
また著者は、生涯を通じてプロフェッショナルとして仕事を全うしたい、というコンセプトにて、「生涯プロフェッショナル」という事業を展開しています。
そして、自分の可能性にリミットを設けず、未来創造のための自分戦略プロジェクトをスタートさせよう、と呼び掛けています。
そのためには、「自分なら達成できそうだ」という自己効力感が大切だ、ということです。
あなたも本書を読んで、定年後の仕事を40代で決めるキャリアプランを立ててみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!