「結婚できない人はなぜ増えたのか」と問いかけ、「それは単に、男女の意識変化ではない。そうではなく、結婚をめぐる社会、とりわけ経済状況が変わったのだ」という説を展開している本があります。
本日紹介するのは、1957年生まれ、東京大学文学部卒業、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学、現在は中央大学文学部教授で、家族社会学を専門とする山田昌弘さんが書いた、こちらの書籍です。
山田昌弘『結婚不要社会』(朝日新書)
この本は、「婚活」を提唱してきた社会学者の著者による、激動の平成男女を総括する「結婚社会学の決定版」と言える書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.結婚困難社会-結婚をめぐる日本の現状
2.結婚再考-なぜ結婚が「必要」なのか
3.近代社会と結婚-結婚不可欠社会
4.戦後日本の結婚状況-皆婚社会の到来
5.「結婚不要社会」へ-近代的結婚の危機
6.結婚困難社会-日本の対応
この本の冒頭で著者は、日本も欧米のような「結婚不要社会」にはならず、結婚したい人が結婚できない「結婚困難社会」になっている、と述べています。
そしてそのターニングポイントは、1990年代半ばで、当時は「晩婚化」と言われていたが、実は「未婚化」である、と著者は提唱していました。
では、結婚できない人が増えたのはなぜか。経済・社会環境が変わった、すなわち経済の低成長という構造的要因なので、将来的にも結婚できない人が増え続ける、ということです。
本書によれば、「未婚化」のロジック現象は、以下のようになります。
◆ 女性は、結婚後の生活を考えて相手を選ぶ(男性の収入重視)
◆ 男性は、それぞれ自分の「好み」で相手を選ぶ
◆ 恋愛が不活発化しているために結婚が減っている
◆ 結婚はしたくたもしにくいもの、という意識への変化
◆ 1997年アジア金融危機以降、若年の男性がずっとアルバイトや派遣で生活するように
◆ ここ20年で、非正規雇用が増えるに従って、なかなか収入が上がらない状況に
この本の中盤以降では、北西ヨーロッパやアメリカにおける結婚観の変化や、日本の近代社会、とくに高度成長期における「皆婚社会」の背景を詳しく解説しています。
とても読み応えのある記述ですので、興味ある方はぜひ、本書を手に取ってお読みください。
さらに、欧米の「結婚不要社会」と日本の「結婚困難社会」を対比させて、それぞれの特徴を論じています。
この本の最後では、日本の結婚の未来形が示されています。ポイントは経済と世間体がどう変化するのか、ということです。
あなたも本書を読んで、日本の結婚困難社会化に、どのように対処していけばよいかを、真剣に考えてみませんか。
速読法・多読法が身につくレポート 『年間300冊ビジネス書速読法「7つのポイント」』 (定価 9,990円)を、こちらのサイトより、大杉潤のメルマガ『ビジネス書10000冊から』へ登録いただければ、無料で差し上げます。こちらをクリックして登録ください!
https://tsuku2.jp/mlReg/?scd=0000049956
では、今日もハッピーな1日を!