書評ブログ

「出版DAF2」レポート <その1>

普通のセミナールームで聞くプレゼンとは全く違う雰囲気で、ビールなどドリンクを飲みながら、仕事やキャリアだけでなく、家庭やライフスタイルまで幅広いスピーカーたちの熱いメッセージが聴ける、注目のイベントとして、今や大人気のDAF(ドランク・アカデミー・フェス)というイベントがあります。

 

 

もともとは、北区王子の会場で、3ヶ月に1回、開催するイベントとしてスタートして、すでに12回の開催実績(第13回目の「DAF13」は2018年9月8日開催予定)を誇っていますが、今回は出版関係者に特化したイベントの2回目として「出版DAF2」が以下の通り、開催されました。

 

 

1.日 時; 2018年8月4日(土)13:30~19:00

 

2.場 所; 新宿 レフカダ(LEFKADA)

    (東京都新宿区新宿5-12-4 リーレ新宿ビルB1F)

 

3.出演者; 計14名(ABCの3ブロック)

 

4.ブース; ドリンクカウンター

 

5.主 催; MC 西澤一浩

 

 

 

北区王子にて定期的に開催されている「DAF」では、いつも出演者の一人として登壇してスピーチをさせていただいておりますが、今回は初めて、観客でも出演者でもない、スタッフの立場で、参加させていただきました。

 

 

集合は朝10時で、会場や動線を確認した後、10時30分から出欠確認注意事項の連絡、そして11時より、本番さながらの真剣モードでのリハーサルが始まりました。

 

  

 

 

リハーサルオープニングでの動線ステージ上で整列した時のポジションの確認、さらに一人ずつ、出番の時の入場曲を流して入念なチェックを行います。乾杯の時の動きも確認。

 

  

 

 

また、終了後の記念撮影の段取り各自の位置確認、最後のカーテンコールの練習まで行います。

 

  

 

 

実は、本番後の出演者・記念撮影やカーテンコールは、出番後に仕事のために途中退出せざるを得なかった出演者が数名いたため、出演者全員揃っての記念撮影として、上のリハーサル写真は貴重なものとなりました。

 

 

ほぼ予定通りにリハーサルが終了し、12時過ぎより休憩と13時からの開場準備(13時30分開演)になりました。

 

 

 

そしていよいよ定刻の13時30分、主催MC西澤一浩さんがステージに登場して、「出版DAF2」が開演となりました。

 

  

 

 

続いて、出演者入場Aブロック前半から出演順に入場します。Cブロック後半大トリを務める桑野麻衣さんが最後に入場して、出演者14名がステージに並びました。

 

  

 

 

次にいよいよDAF恒例の乾杯です。いつもはMC西澤さんの音頭で乾杯しますが、今回はハプニング(?)で、観客席から立候補があり、高橋一彰さんの音頭で乾杯です。

 

  

 

 

しばしの歓談があり、いよいよ出版社の編集者が本音を語る本編の開始。まずは、Aブロック前半は、次の2名。

 

 

◆ 荒川三郎(ぱる出版・編集者)

 

◆ 岩﨑輝央(キノブックス・編集者)

 

 

 

トップバッターの荒川三郎さんは、ぱる出版マネー関連の本を多く手がける編集者

 

 

DAFのトップバッターは、会場の空気が温まっていなくて、観客の反応も読めないため、極度の緊張に襲われますが、落ち着いた雰囲気で登場。

 

 

テーマは「企画書を100倍通しやすくする方法~差別化にひそむ落とし穴~」です。

 

  

 

 

奇をてらったタイトルや企画で「差別化」するよりも、「誰が書くか」が大切だと言います。

 

 

つまり著者が実績を上げ、しっかりしたバックグランドを持ってこそ差別化となり、まずは「本業を磨け」とアドバイスします。

 

 

マザーテレサ「世界を平和にしたいなら、まず家族を愛しなさい」という言葉の通り、まずは目の前の本業に集中して伸ばすことを提唱しました。

 

 

極論を言えば、「本なんか出版しなくてもいい」と発言し、会場がどよめきます。本を出版するよりも、「元気で長生きする」ことが大切だ、と呼び掛けました。

 

 

長生きすれば、本なんかいつでも出版できる、というのが結論です。

 

 

なるほど、出版は本業で勝負する「王道」で行くべき、という力強いメッセージで共感できます。

 

 

私も、最も長く仕事をしてきた金融機関での経験を磨き、いつか荒川さんと組んで、マネー関連の本を作ってみたい、と強く心に誓いました。

 

 

 

続いて2人目に登場するのは、キノブックス編集者岩崎輝央さん。実は、岩崎さんは、昨年2月に出版した私のデビュー作『入社3年目までの仕事の悩みに、ビジネス書10000冊から答えを見つけました』(キノブックス)編集を担当してくれた大恩人です。

 

 

スピーチのテーマは、「ナンバー1よりオンリー1、差別化こそすべて」です。

 

 

前に話した荒川さんの正反対の結論と思われるテーマでドキリとさせられます。

 

  

 

 

今回の話は、東日本大震災による津波で壊滅的な打撃を受けた後、わずか半年で復興を遂げた日本製紙石巻工場の再生を描いたノンフィクション『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』(早川書房)が、なぜ10万部を超えるベストセラーになり、ダ・ヴィンチ「BOOK OF THE YEAR 2014」のエッセイ・ノンフィクションランキング1位など8冠を達成できたのか、という話です。

 

 

東日本大震災に関する写真集は数多く出ていて、震災から数年たった時点で、日本製紙石巻工場を今更、普通に取り上げても注目度が薄いと感じていた、と言います。

 

 

そこで、これまでとは違った切り口で、我が国の出版用紙の4割を担う日本製紙石巻工場の再生を、出版不況に苦しむ出版業界の再生の象徴として重ね合わせ、全国の書店員がこの本を応援したそうです。

 

 

タイトル『紙つなげ!』は、編集者が強く主張したものの、関係者のほぼ全員が反対。それでも強硬突破して、出版に漕ぎ着けたところ、多くの応援をもらって大ヒットとなり、反対した人たちも何も言わなくなったそうです。

 

 

やはり、オンリーワンとなる差別化した企画思いのこもった迫力あるタイトルが多くの読者出版業界を支える全国の書店に支持されたのでしょう。

 

 

質疑応答では、荒川さんが「毎日書くブロガーは文章がうまくなり、ファンもついて出版に企画なる」と話し、岩崎さんは「紙つなげ」の語源として、製紙工場の「紙つなぎ」という用語を紹介してくれました。

 

  

 

 

 

続いて、Aブロック後半は、次の3名です。

 

 

◆ 大西夏奈子(フリーライター)

 

◆ 杉浦博道(SBクリエイティブ・編集者)

 

◆ 小田実紀(Clover出版・編集者)

 

 

まずライター大西夏奈子さん。テーマは「編集者たちの事情2018」

 

  

 

大西さんは、日本とモンゴルの両方で活動し、約20社の様々なジャンルの出版社と仕事をされているそうです。

 

 

そうした経験から、各出版社の編集者たちがよく口にするワードのベスト3を紹介してくれました。

 

 

第3位: 「いい企画が欲しい」「いいライターを紹介して欲しい」 ー 出版社の編集者もつねに著者の生きざまが表れるようなインパクトのある企画を求めています。皆さんもドンドン提案した方がいい、と教えてくれました。

 

 

第2位:「新しい売り方を探している」 ー 大手の出版社ではとくにネットNEWSメディアとのタイアップなど、新たな売り方を考えています。

 

 

第1位:「本が売れない」 ー 本は1996年をピークに右肩下がりの減少が止まりません。下がり始めたのは、1995年にウィンドウズ95が発売され、ネット社会が到来したことが一番の原因。今や、「どうやったら売れるか」著者も協力して考える時代です。

 

 

今、出版業界が抱える課題編集者さんたちの切実な思いがよく伝わってきて、とても参考になりました。

 

 

 

続いて、SBクリエイティブ編集者杉浦博道さん。先日、杉浦さんが編集を担当した新刊書籍『世界トップ機関の研究と成功率97%の実績からついに見つかった!  頭のいい子にする最高の育て方』(はせがわ わか著・SBクリエイティブ)の書評を、私のブログに掲載(2018年8月1日付)したことからご縁が始まり、本日初めてお会いすることができました。

 

 

『頭のいい子にする最高の育て方』「本当に大事なのは、どんな環境でも適応し、誰とでも仲良く付き合い、困った人がいたら率先して助け、多少の困難も乗り越える力をつけることでは...

 

 

今回のテーマは「こんなメッセージを伝えたい」を諦めるのが早いほど、本は早く出せる

 

  

 

 

出版社や編集者の本音として、「バカ売れする本を作って儲けたい」ということです。したがって、著者は「行列の出来るラーメン屋の店主」を目指せばいい、と訴えていました。

 

 

ラーメンもトッピングを乗せて、1,000~1,500円が相場で、ビジネス書一冊とほぼ同じ値段です。

 

 

編集者(や出版社)はラーメン屋のオーナーで、とにかく利益を出したい売れるようにして欲しい、ということです。

 

 

たまに編集者原稿を送りつけてくる人がいますが、「便所で使ったスリッパをラーメンに入れて出すようなもの」と、手厳しく譬えて説明されました。歯に衣着せぬ語り口が、分かりやすく、インパクトがあります。

 

 

スープを少し飲んだだけで、クオリティが分かるものを求めているのであり、全部食べなきゃ、味が分からないものに付き合っている暇は編集者にはないそうです。

 

 

一口で味のクオリティが分かるものとは、ズバリ「企画書」です。とくに、著者の「立ち位置」が目立つものがいい企画書ということです。

 

 

健康、病気など大きな市場があり、その中で目立つ立ち位置がいい。但し、一般に「予防法」の本は売れません。実際に病気になって、切実な思いがなければ読者は本を買わないのです。

 

 

 

Aブロック後半の最後は、Clover出版・編集者小田実紀さん。小田さんとも、私が小田さんが編集したビジネス書を何冊かブログに紹介したご縁で、お会いしたことがあります。

 

 

最近では、小西昭生『サイエンス・スピリチュアルの教科書-「見えない世界」を科学で解明する!』(産学社)の書評を、2018年3月16日付ブログ記事に掲載しました。

 

 

『サイエンス・スピリチュアルの教科書』「スピリチュアルをとらえるとき、“ 目に見えないもの ” の存在を避けては通れません。その根源たる創造主を検討することは、スピリチュアル...

 

今回の話のテーマは「本と人生にコツなんていらない」

 

  

 

 

小田さんは、スピリチュアル関連の書籍を専門にしているClover出版を仲間と立ち上げ、たった一人の編集者として活躍されています。

 

 

2014年からの「引き寄せの法則」ブームで、奥平亜美衣さんを世に出し、その後もスピリチアル関係の書籍で数多くのヒットを出しています。

 

 

「引き寄せ」とは、思考を現実化させることで、誰でも「自分のほんとうの望みや願いに気づくこと」ができれば、その望みは現実化する、ということです。

 

 

誰もが生まれて間もなく、そして幼い頃は純粋な願いを持っていますが、社会に出ると、小さい頃の純粋な「気持ちのいい瞬間」を忘れてしまう、と小田さんは言います。

 

 

小田さんは、何を言うかよりも、「どのように伝えるか」「どう表現するか」が大切で、そこさえ磨けば、「何を言うか」は重要ではない、と述べています。

 

 

言葉にならないことや感動を、言葉にすれば著者になれるそうです。

 

 

 

3人のスピーチ後に、質疑応答の時間が取られました。

 

  

 

 

著者が伝えたいことを書いた本か、売れることを書いた本か、という葛藤や、著者と編集者との食い違いについて質問がありました。

 

 

大西さんは、著者がいいたいことは、「本にとって大事なこと」か、それとも「いらないこと」か判断基準になる、ということ。

 

 

杉浦さんは、著者のメッセージ「今の大きな市場にマッチしているか」「類書がどのくらい売れているのか」が重要だが、出版社によって基準は異なる、という回答です。

 

 

小田さんは「何を書くか」よりも「表現の仕方」とか「文体やリズム」の方が重要、という立場です。

 

 

それぞれ、編集者や出版社によって、受け止め方が違うので、著者は自分に合った出版社や編集者と出会うことが重要になると感じました。

 

 

 

15分間の交流タイムの後、Bブロック前半が始まり、以下の2名が登壇しました。

 

 

◆ 澤 有一良(きこ書房・編集者)

 

◆ 間 有希(KADOKAWA・編集者)

 

 

はじめに、きこ書房・編集者澤 有一良さんは、スーツに蝶ネクタイで決めて登場です。

 

 

話のテーマは「誰でも今日から実践できる、10万字の原稿が書けるようになるたった一つの冴えたやり方」です。

 

  

 

 

澤さんとは、今回の出版DAF2にも参加されているビジネス書作家吉田幸弘さんの出版記念パーティーでお会いし、ご縁が出来て、澤さんが編集を担当した、長谷川雅彬著『自分が信じていることを疑う勇気』(きこ書房)書評ブログに書かせていただきました。(2018年6月15日付ブログ記事)

 

 

『自分が信じていることを疑う勇気』「自分が信じている思い込みを疑うことで無限の可能性が広がる。今ほどチャンスに満ちあふれた時代はない。」と提唱している本があります。 ...

 

この本は、原稿が持ち込まれたことから出版になったそうですが、待ち込まれるものとしては稀に見るいい原稿だったそうです。

 

 

企画書が通ったとしても、その後、10,000字の原稿が書けない人も一定の割合でいる中で、澤さんが勧める方法はズバリ、「ビジネス書写経」です。

 

 

10,000字書く方法は、書くことしかない、ということで、そのベイビーステップとして「ビジネス書写経」がある、と澤さんは提唱します。

 

 

 

「ビジネス書写経」には3つのポイントがあり、①ベストセラーなどの「売れている本」を選ぶ、②3年以内に発売された本を選ぶ、③一言一句、そのまま書き写す、の3点です。

 

 

そして、書きたいジャンルの本を書き写す「守破離」のまず、「守」から入って、いいものを真似る、ということでしょう。

 

 

但し、注意しなくてはいけないのは、そのままネットに公開しないことです。当然、著作権の侵害になってしまいます。

 

 

 

続いて登場したのは、KADOKAWA編集者間 有希さん。お話のテーマは「応援してもらえる人と、してもらえない人の違い」について。

 

  

 

最近の出版の傾向として、出版点数があまり変わらず、1日平均200冊の本が出るのに、書店の廃業などで売り場面積が半分になって、本が書店に置かれる期間が短くなっている、ということがあります。

 

 

最初の1ヶ月での販売、つまり初速が重要で、残念ながら1ヶ月の間に動かなかった本が、その後で売れるのは非常に難しいそうです。

 

 

間さんは、「本を作った以上はヒットさせたい」「売れる本を作りたい」ということで、SNSでの発信など、著者が応援されることが重要だと言います。

 

 

応援される著者は、失敗と成功をそのままさらけ出し、共感を得ること。キャラ設定をきちんとする意味で、ブログによる発信が効果的、ということです。

 

 

成功した事例として、間さんが編集を担当した、ゆうこす著『SNSで夢を叶える ニートだった私の人生を変えた発信力の育て方』(KADOKAWA)を紹介してくれました。

 

 

著者はもともとHKTでアイドルとして活躍していましたが、スキャンダルで引退、その後、「モテクリエーター」と宣言して、SNSで発信し、ファンを広げ続けているそうです。

 

 

 

Bブロック前半二人のスピーチが終了した後で、質疑応答になりました。

 

 

まず、澤さんが提唱した「ビジネス書写経」の具体的なやり方について。澤さんは、ビジネス書を開いて、その上にノートPCを置いて入力するそうです。

 

 

次に、間さんに対して、ブログのタイトルやテーマと、出版したい本のテーマを合わせるべきかどうか、という質問。間さんの答えは、「まずブログを始めてみること。」

 

  

 

 

テーマが決まらず始められない、となりがちなのでもったいない。人気ブログになってファンがつけば、本のオファーは来る、ということです。

 

 

 

ここまでで出演者14名のちょうど半分の7名のスピーチが終了しました。

 

 

続きの「出版DAF2」の後半は、明日のブログにてレポートいたします。お楽しみに!

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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