現在では「イメージとはまったく異なる事業で最も多くの利益を稼いでいる企業」が増えている、と解説している本があります。
本日紹介するのは、大手コンサルティング会社上席コンサルタント、滋賀大学大学院客員教授の長谷川正人さんが書いた、こちらの書籍です。
長谷川正人『決算書で読む ヤバイ本業 伸びる副業』(日本経済新聞出版社)
この本は、携帯から投資、教育から介護、メディアから不動産など、経営環境が激変する中で、姿を変えながらも生き残ろうとする企業を紹介している書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.あなたの知らないソフトバンクの姿
2.本業消滅!生き延びるために変身 富士フィルム&日立造船
3.セグメントに表れる意外な素顔 アマゾン&HIS&ベネッセ
4.「金融」を柱に、変わる経営指標 楽天&イオン
5.「不動産」が救う!? 低迷する本業 サッポロ&フジ・メディア
6.「無料」戦略は、決算書にこう映る
このほんの冒頭で著者は、ソフトバンクグループは、2013年以降、毎年のように海外で巨額買収を繰り返し、多くの日本人が思い浮かべる「国内第3位の携帯キャリア」とは大きくかけ離れた姿になっている、と指摘しています。
2013年のスプリント・ネクステル(米国3位の携帯電話会社)の買収(1兆5700億円)、2016年の英国の半導体大手アーム・ホールディングスの買収(3兆3000億円)に続き、2017年には10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」(SVF)の立ち上げと続き、財務データの「わかりにくさ」が強まっている、と著者は言います。
ソフトバンクグループのM&A戦略は、多くの日本企業の行動パターンとは異なっており、これは同社の創業者かつオーナーの孫正義会長兼社長の強いリーダーシップによるものです。
本書ではそれを決算書の面で見ることにより、企業としてのほんとうの姿を炙り出しています。
次に、本業がもはや消滅する中で、生き延びるための変身を遂げた企業の事例として、富士フィルムと日立造船を紹介しています。
この後、途中に挟んだ「レッスン」として、決算書、とくに以下に挙げた財務3表の読み方について解説されています。
1.バランスシート(貸借対照表)
2.損益計算書
3.キャッシュフロー計算書
さらにこの本の中盤では、意外なセグメントで利益を上げている会社として、次の3社の決算書を分析・紹介しています。
◆ アマゾン: AWS(アマゾン・ウェブ・サービスの利益)
◆ HIS(ハウステンボスの利益)
◆ ベネッセ(海外事業・介護事業)
また、金融を柱として展開する企業として、楽天とイオンの実態を決算書から解説しています。
同じように、本業の低迷を「不動産」が救っているのが、サッポロとフジ・メディアです。それぞれ、恵比寿ガーデンプレイスやサンケイビルという不動産事業が多くの利益を稼ぎ出しているのです。
この本の最後では、LINE やクックパッドの「無料戦略」が決算書上にはどのように表現されるのかを説明しています。
これ以外にも巻末のコラムでは、「社名イメージと利益の稼ぎ頭が違う会社」の事例が数多く紹介されていて参考になります。
あなたも本書を読んで、企業がほんとうに利益を稼ぎ出しているセグメントに注目し、その実態を把握してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を