杉山一志氏は、東進ハイスクール講師、Z会東大マスター講師として英語教育の現場に立つ指導者だ。日本での独自の勉強により、TOEIC400点台から975点、英検1級などの資格を取得。
本書は、著者がいかに苦労して英語力を上げてきたか、という体験が赤裸々に綴られている。帰国子女などと違って、杉山氏は試行錯誤しながら、日本にいながらにして英語力を徐々に付けてきた経験を持つ。
そういう意味で、普通のビジネスマンにも共感できる内容だ。私自身も40歳代になってから転職を目指して英語の勉強を本格的に開始したので、TOEIC試験や英検の受験結果に一喜一憂する著者の気持ちがよく理解できた。
杉山氏が本書で紹介する英語力の養い方は以下の通りだが、私の経験上も殆ど全て共感するものばかりだ。大いに参考にしてほしい。
1.英語は努力した分だけできるようになる
2.ネイティブらしい発音を極めるより伝達力(中味も含めて)を磨け
3.単語力が英語マスターの土台になる
4.単語はビジネス用語2000語を1ヶ月短期集中で暗記せよ
5.音読をすれば英語でかんがえられるようになる
6.骨格、意味のかたまりを意識しながら音読し、語順のままに理解する
7.スピードの緩急をつけて音読する
8.文法の知識を持って音読する
9.Japan Times の購読は効果あり
10.上達する人は 「細切れ時間」 の使い方がうまい
音読と英語力アップの関係は様々な英語の達人や指導者が語っているが、杉山氏はとくに独自の音読方式に思いが強く、細かくやり方まで本書で説いている。音読の効用はいくら強調してもし過ぎることはないだろう。
音読と並んで、著者は①単語力、②文法力、③速読力(多読)を英語力のベースとして挙げている。全く同感だ。英語力をしっかり上げてTOEICスコアのアップを目標とするビジネスパーソンに、きっかけの書として心から本書を薦めたい。