「革命的な時代がやってきたという “ 時代認識 ” を持ち、大胆に行動しよう!」と呼び掛けている本があります。
本日紹介するのは、日本開発銀行、慶應義塾大学教授などを経て、小泉内閣において、経済財政担当大臣、金融担当大臣、総務大臣、郵政民営化担当大臣などを歴任した、竹中平蔵さんが書いた、こちらの新刊新書です。
竹中平蔵『第4次産業革命!日本経済をこう変える。』(PHPビジネス新書)
この本は、AI(人工知能)やロボット、I o T(Internet of Things:モノのインターネット)、ビッグデータの活用などによって、今までにはなかった新しいチャンスが生まれていることを提唱している書です。
これによって新しい産業が生まれ、新しいライフスタイルがつくられるという意味で、革命的な変化と言えるため、本書ではそれを「第4次産業革命」と紹介しています。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.第4次産業革命は、なぜ「革命」なのか
2.ベンチャーが導く次代のイノベーション
3.規制改革とセキュリティ対策を急げ!
4.待ったなしの「働き方改革」
5.第4次産業革命と日本経済強化へ、四つの提言
本書の冒頭で著者は、急成長している「シェアリング・エコノミー」の代表格である、ウーバー(アプリによる配車サービス)とエアビーアンドビー(空き部屋の貸し出しマッチングサービス)の2社を詳しく紹介しています。
この2社の本質は、タクシー業やホテル・旅館業ではなく、「ソーシャルネットワーキング業」だと、著者は言います。
つまり、クルマでソーシャルネットワーキングを行うのがウーバーで、部屋で行うのがエアビーアンドビーということです。
そして、最先端で最強のビジネスモデルと言われる巨大IT企業のアマゾンやグーグルも、単なるネット書店やネット小売り、ネット広告会社ではなく、ネットビジネスで得たビッグデータをさまざまに活用して行う「ソーシャルネットワーキング業」だということです。
また、仮想通貨やブロックチェーン技術などが注目を集め、世界中の金融機関も研究を開始している「フィンテック」についても、今後世界をリードするのは、金融業ではなく、お金に関するビッグデータを保存・運用・管理している、アマゾンやグーグルなどのテクノロジー企業だろうと、著者は言います。
本書の中盤以降では、ベンチャー企業によるイノベーションはいかにして起こるか、というシリコンバレーや他国の取り組み、および、今後日本で喫緊の課題となる、規制緩和やサイバーセキュリティ対策について、詳しく説明されています。
とくに、東京五輪を控えて、日本へのサイバー攻撃が急増しており、今後は情報を盗まれた、という次元の被害だけではなく、「社会的インフラ」に物理的なダメージを与えるリスクを指摘しています。
2003年にアメリカで原発の制御システムがウィルスに感染して5時間にわたって停止したり、2008年にはトルコで石油パイプライインが破壊されたりしています。
また2012年、イギリスのロンドンオリンピックでは、毎秒約1万件の不正通信があり、開会式会場の電力システムへの攻撃情報もあります。
さらに2014年にはドイツで製鉄所の溶鉱炉が損傷、2015年にはウクライナの変電所がサイバー攻撃を受けて、数万世帯が3~6時間にわたって大停電した事実があります。
今後、2020年の東京オリンピックを控える日本は、サイバー攻撃のメインターゲットになる可能性が高く、組織のトップがサイバーセキュリティに直接かかわっているかどうかがポイントになる、と本書では指摘しています。
本書の終盤では、日本の「働き方改革」は待ったなしであり、古い「人生の地図」は、早晩使えなくなる、と著者は言います。
つまり、これからの時代に必要なのは、以下の「3つのマインドセット」だと、提唱しています。
1.コンパス・オーバー・マップス(Compass over maps); 地図よりもコンパス(羅針盤)が大切
2.レジリエンス・オーバー・ストレングス(Resilience over strength); 強さより復元力が大切
3.ラーニング・オーバー・エデュケーション(Learning over education); 知識よりも学習が大切
本書の最後では、著者の竹中平蔵さんによる、以下の「4つの政策提言」が示されていて、参考になります。いずれも実行可能で効果がすぐに出る政策です。
◆ ビッグデータ整備の司令塔をつくる- イギリス的な「官民が協力して整備・管理を進める」かたち
◆ リカレント教育バウチャー制度をつくる
◆ フィンテックと自動走行のレギュラトリー・サンドボックスをつくる
◆ コンセッションの活用を拡大する
リカレント教育、レギュラトリー・サンドボックス、コンセッションなど、一般にまだあまり知られていない概念の言葉が出てきますが、興味ある方はぜひ、本書をお読みください。
いずれも今後3~5年くらいの間に、社会の大きなテーマになる概念です。
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では、今日もハッピーな1日を