「人口減少が進み、働き手が減っていく日本。もはや衰退は不可避ではないか?経済学の答えはNOです。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、ニューヨーク大学助教授、東京大学大学院教授などを経て、立正大学教授の吉川洋さんが書いた、こちらの書籍です。
吉川洋『人口と日本経済-長寿、イノベーション、経済成長』(中公新書)
この本は、マルサスの『人口論』から紐解き、ダーウィンの『種の起源』、リカードの『経済学と課税の原理』、さらにケインズ、ヴィクセル、ミュルダールなどの経済学の知見を、分かりやすく解説しています。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.経済学は人口をいかに考えてきたか
2.人口減少と日本経済
3.長寿という果実
4.人間にとって経済とは何か
本書の冒頭で著者は、マルサスの『人口論』で唱える法則を紹介し、「豊かになるほど人口は増える」と提唱されていたが、現在の先進国では逆に、人口減少に悩まされている、と指摘しています。
また、ケインズは、若きマルサスが説いた過剰人口問題を「Pの悪魔」と呼び、老マルサスが指摘した失業の問題を「Uの悪魔」と呼んでいます。
マルサスは、不平等は不可避で、一見無駄に見える地主階級の消費が雇用を生み出すと提唱していました。したがって、平等社会になれば、人間は怠惰を貪り、雇用は生まれないとして失業問題を指摘しました。
実際には、19世紀前半までは「Pの悪魔」が猛威を振るい、20世紀に人口が減少した先進国では、投資が過少になることから「Uの悪魔」にさらされています。
そして本書の後半では、結論として、「人口、労働力が減少するから経済成長は不可能だ、という議論は短絡的すぎる」としています。
つまり、経済成長は、1人当たりの所得の上昇で、その源泉はイノベーションである、としています。そう最初に説いた経済学者はシュンペーターですが、重要なのは、新しい財やサービスを生み出す「プロダクト・イノベーション」だと、本書では述べています。
もうひとつ、長寿化という大きな流れがあり、これは1人あたり所得水準と強い相関関係がある、ということです。
世界有数の長寿国であるの日本は、蔓延する「人口減少ペシミズム(悲観論)」に踊らされることなく、イノベーションによって経済成長を成し遂げる可能性が大いにある、というのが本書の主張です。
あなたも本書を読んで、人口と日本経済について、改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を