日本経済の骨格をなす「地方経済」を、これからの少子高齢化の進展の中でどのように構築すべきか、を論じている書があります。
本日紹介するのは、エコノミストの飯田泰之さん、上智大学教授の田中秀臣さん、タレントの麻木久仁子さんの共著である、こちらの書です。
田中秀臣編『「30万人都市」が日本を救う!中国版「ブラックマンデー」と日本経済』(藤原書店)
この本は、アベノミクスによる日本経済の評価や今後の予測と、これからの「日本を救う処方箋」について提言している書です。
全体の編集は、上武大学ビジネス情報学部教授の田中秀臣さんが行い、本書の中心は共著3名の鼎談となっています。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.日本経済は今-中国バブル崩壊と経済格差の暗雲
2.鼎談「30万人都市」が日本を救う!
3.「集団的自衛権」の経済学
上記の最初の1と最期の3は田中秀臣さんの私見を中心にした「序論」と「補論」になっていて、中核部分は2の「鼎談」であり、それは次のように3パートに分かれています。
1.消費税増税は貧困層を直撃した!-アベノミクス三年目の採点表
2.「30万人都市」に集中せよ!-日本分断を回避する最後のチャンス
3.地方消滅の旧理論と新理論を超えて
上記の「鼎談」構成の中で最後の3については、田中秀臣さんの解説になります。
本書の「鼎談」において、アベノミクスの評価として、前半は第一の矢である「金融緩和」および第二の矢である「財政出動」による、株価上昇、円安への反転、企業業績の回復、雇用環境の改善が見られ、評価できる、としています。
しかし、2014年4月の消費税増税以降は、以下のような経済環境でデフレ脱却は遠のき、日本経済は危機的な状況になりつつある、と指摘しています。
◆ 消費増税が貧困層を直撃して経済格差が拡大している
◆ 中国経済の大幅な減速により、国際経済が縮小している
そうした中で本書では、日本経済の骨格をなす「地方経済」を、これからの少子高齢化の進展の中でどのように構築すべきか、を考えるべきだと警鐘を鳴らしています。
この本の中では具体的な提言として、デフレ脱却と連動する形で、「30万人都市」への資本とインフラの集中を通じた、地方経済の再構築こそが必要だ、としています。
基本的な発想としては、とくに地方では人口が大幅に減少していく中で、何とか人口30万人は保たないと行政サービスやインフラが維持できない、という危機感です。
エリアとして30分以内で往来できる円の中で人口30万人を保てれば、一通りのインフラ整備ができます。例えばひと学年で2000人強で学年200人の高校が10校できるなどです。
また本書では、「格差の拡大・固定化が知的分断を先鋭化させる」と指摘していて、文化資本の固定化を揺さぶるためにも地方都市再生がカギになると述べています。
そういう意味で、今は「日本社会の分断化」を避ける最後のチャンスだ、ということです。
あなたも本書を読んで、「30万人都市」による地方創生と日本経済の復活について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を