『マンションは日本人を幸せにするか』

2019.08.11 (日)

日本人にとって「マンション」とは何なのだろう?と問いかけ、マンションが日本人にもたらした「正と負」の側面をあぶり出している本があります。

 

 

本日紹介するのは、昨日に続き、同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部を卒業し、マンションの広告制作販売戦略立案などを手がけ、現在は一般ユーザーを対象にした住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌に多くの記事を執筆する住宅ジャーナリスト榊淳司さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

榊淳司『マンションは日本人を幸せにするか』(集英社新書)

 

 

この本は、そもそも日本人はなぜマンションに住み始めたのか、分譲マンションの区分所有という権利形態に潜むリスク、高層階に住むことは健康にどう影響するか、などの「そもそも論」から、業界の儲けのカラクリ、さらには未来のマンションの風景まで、この道30年の住宅ジャーナリストが、住まう人たちを幸せに導くマンションのあり方を探った本です。

 

 

 

本書は以下の10部構成から成っています。

 

 

1.プロローグ-マンションが日本人にもたらした「正と負」の側面

 

2.マンションは日本人を幸せに導いてきたか

 

3.マンションの黎明期

 

4.管理組合と民主主義

 

5.儲けるためのマンション

 

 

6.繰り返される不動産バブル

 

7.マンション、この不完全な住まい

 

8.マンションは日本人の健康を損なうか?

 

9.マンションの未来を拓くために

 

10.エピローグ-二つのマンションの奇跡

 

 

 

この本の冒頭で著者は、「滅失住宅の築後年数の国際比較」という国土交通省による以下の推計値を紹介しています。

 

 

◆ 日 本 30年

 

◆ アメリカ 55年

 

◆ イギリス 77年

 

 

これは日本の高温多湿な気候と地震によるもの、とされていますが、それにしても大きな差です。

 

 

 

また、吉田兼好の『徒然草』にも書かれているように、日本の木造住宅は「夏向き」に作られており、冬が寒すぎる。しかし、冬向きに高気密な家を作ると、夏場はエアコンなしには暮らせなくなります。

 

 

 

もう一つ、地震の影響も大きく、石やレンガで家を造ると、地震で一夜にして倒壊してしまう。秀吉が造った伏見城など、多くの事例があるそうです。

 

 

 

また、日本人の「新築好き」国際的にみれば、異常とも言えるようです。売買される住宅は、イギリスでは86%が中古、アメリカでは9割が中古。対して日本は、8割以上が新築。この格差は「異常」と言えるでしょう。

 

 

これは「宗教観」の違いだ、と著者は指摘しています。象徴的なのは、20年ごとに「遷宮」を繰り返している伊勢神宮だと言います。

 

 

神道の教えは、「戒律」の教えはほとんどないものの、ただひたすらに「清らかであれ」としています。新しいことが「清らか」なこと、古いものは「穢れ」で、穢れたものは「みそぎ」で清らかなものへ変えていくのです。

 

 

 

マンションの耐用年数は、10年前くらいまでは「30年~40年」と言われていたそうですが、今は「50年~100年」と言われることが多い、と著者は説明しています。

 

 

日本人にとってマンションとは、それまで数千年にわたる木造住宅との歴史の中で培われた「30年で建て替え」という概念を破壊する存在になったのです。

 

 

日本ではマンションが本格的に建ち始めてからまだ60年しか経っておらず、「マンションで生まれて生涯を終えた人」はほとんどいない、という浅い歴史しかありません。

 

 

 

これから世の中に元気な高齢者が増えていくように、築年数を経ても輝き続けるマンションが多くなっていく、と本書では予測しています。

 

 

 

次に、「マンションが日本人の生活にもたらした変化」を以下の通り、挙げています。

 

 

◆ 日本人を都会に住まわせた

 

◆ 日本人にマイホームを持たせた

 

◆ 日本人の核家族化を進めた

 

◆ 日本人を少子化に導いた

 

 

◆ 日本人の資産となり、負債となった

 

◆ 日本人に区分所有という概念を植え付けた

 

◆ 日本人に管理組合という強制加入組織を作らせた

 

 

◆ 日本人に高気密・高断熱な住まいを提供した

 

◆ 日本人にエアコン使用を定着させた

 

◆ 日本人に高層生活を定着させた

 

 

 

こうした変化の中で、本書では「マンションに住むリスク」を様々な観点から分析し、整理して提示しています。主な論点は以下の通り。

 

 

◆ 性善説に基づく管理運営

 

◆ 強すぎる所有権保護

 

◆ 管理という「利権」

 

◆ お仕着せ四点セット(➀管理会社、②管理規約、③管理費・修繕積立金、④長期修繕計画)

 

 

 

◆ 区分所有者の三大義務(➀共同の利益に反する行為を行わない、②共用部分の管理に参加、③管理費・修繕積立金の支払い)

 

◆ 長谷工プロジェクトは、マンション業界のユニクロ(価格の割に品質が安定)

 

◆ 両手仲介(本来は利益相反)が禁止でないために起こる「囲い込み」

 

◆ 繰り返される不動産バブル

 

 

 

この本の終盤では、「マンションは日本人の健康を損なうか?」というテーマで、著者の見解が述べられています。ポイントは次の通り。

 

 

◆ コンクリートによる「冷輻射ストレス」で体温が下がり、免疫力が低下

 

◆ アレルギーの原因となるダニ、カビの発生

 

◆ 老朽化が進み、廃墟化するマンション

 

◆ 深刻化する「管理費未納」問題」

 

 

 

◆ タワーマンションは、外出しにくい高層階の生活で、子どもの自立心が育ちにくい

 

◆ タワーマンションは、高所平気症のリスク

 

◆ タワーーマンションは、心肺停止時に間に合わないリスク

 

 

 

最後に著者は、高知県の「沢田マンション」と、東京都港区の「白金タワー」優れた管理システムを紹介しています。

 

 

「沢田マンション」については、こちらの書籍に詳細が記されているので、参照されたい。

 

 

 

 

あなたも本書を読んで、「日本人の幸せと今後のマンション」について改めて考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!

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