書評ブログ

『花活~ブレない自分を育てる生け花~』

「生け花は非常に合理的にできています。自然の美を表現するうえで、無駄なものはそぎ落していく、というのが基本的な考え方です。」と述べて、「どこが必要でどこが必要でないのかを見極めるには、かなりの集中力と熟練を要します。」生け花の奥深さを解説してくれる本があります。

 

 

本日紹介するのは、10歳より生け花、フラワーデザインを始めて、2003年にソウル大学留学中に国際交流ボランティアとして「生け花と日本文化」講座を半年間開講し、現在は湘南フラワーコーディネート副代表SFC自由が丘校を主宰する阿多星花さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

阿多星花『花活~ブレない自分を育てる生け花~』(ギャラクシーブックス)

 

 

この本は、日本人として受け継がれてきた生け花を学ぶことで、日本人らしい美的感覚を取り戻し、花を愛してくださる方が一人でも増えてくれることを願って書かれました。

 

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

 

1.花のある家、花のある人

 

2.花と日本人の関わり

 

3.生け花と日本人の美意識

 

4.生け花で養える力とは?

 

5.ブレない自分の育て方

 

 

 

この本の冒頭で著者は、「よく西洋のアレンジメントは “ 足し算 ”、生け花は “ 引き算 ” にたとえられますが、枝や花を生けるときにも無駄な葉や小枝は切り落としていきます。」と説明しています。

 

 

そして、自然の中に育った枝や花は、一つとして同じものはありませんから、毎回生けるたびに、今、目の前にある花と向き合って、決めていくことになる、ということです。

 

 

 

この見極めの力がついてくると、絵の見方や音楽の聴き方なども変わってくるそうです。

 

 

どのような分野の芸術作品でも、一つの作品の中に不要な要素というのはまったくなく、すべての要素が「必然」であることに気づけるからです。

 

 

つまり、細部に目が届き、作者の意図を想像することができるようになってくるのです。ものの見方が少しずつ変わってきて、興味や関心が広がり、品格を築いていきます。

 

 

 

この本では、花と日本人の関わりの歴史平安時代から現代までを辿って紹介しています。

 

 

 

そのあとで、生け花と日本人の美意識について語っています。例えば、次のような「美意識」です。

 

 

◆ 自然を家の中に再構成する

 

◆ 左右非対称のバランス

 

◆ 空間美

 

◆ 最小限で美を引き出す

 

◆ 枝の重要性

 

◆ 季節感を楽しむ

 

 

 

最近、経営においても、「論理性」だけではなく、アップルが i Phone を産み出したように、個性や独自性による差別化が必須だと言われています。

 

 

 

その意味で、コンサルタント山口周さんは、イノベーションには「美意識」が不可欠だと説いています。

 

 

書評は、こちらをご覧ください。

 

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』世界で唯一、修士号・博士号を授与できる美術系大学の英国ロイヤルカレッジオブアート(RCA)が「グローバル企業の幹部トレーニング」に力を入...

 

 

また、増村岳史さんの『ビジネスの限界はアートで超えろ!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)も同じ趣旨の主張で、注目を集めています。

 

 

書評は、こちらをご覧ください。

 

『ビジネスの限界はアートで超えろ!』「絵を描くということが、すべてのクリエイティブ(創造)の源になっている」と提唱している本があります。 本日紹介する...

 

 

続いて、「生け花で養える力」について、以下のような力を例を挙げて説明しています。

 

 

◆ 観察力

 

◆ 表現力

 

◆ 応用力(場に生ける)

 

◆ 発想力(分解して再構成)

 

◆ 集中力

 

◆ 色彩感覚

 

 

先日私も、実際に花瓶への生け花を体験してみて、確かに「花を観察する」「花瓶を観察する」ことから始まり、表現力、発想力、集中力、色彩感覚などが必要なことがよく分かりました。

 

 

不要な枝や葉を切り落としていくときに、一旦切ってしまったものは元に戻らないため、水に浸しながら少しずつ切り落として花瓶に挿した後の姿を想像したり、どのように組んでどちらへ向けて挿したりするかなど、集中して発想することが求められます。

 

 

 

本書の最後で著者の阿多さんは、「自分の世界観を持つ」ことの大切さを説いています。「世界観を持つ」ことは自分の中で1つの軸を持つことで、ブレない自分になるということです。

 

 

自分の軸を持って自分に自信が持てたら、人と比べてしまうこともなく、相手のよさを素直に認められる、と著者は言います。

 

 

人間関係に悩んでいる場合、それは相手とのコミュニケーションの取り方以前に、自分自身の中に足りないものがあるのかも知れません。

 

 

1つ軸を決めて何かに取り組むことを、この本では勧めています。

 

 

 

これからは、AI研究者脳科学者黒川伊保子さんが『ヒトは7年で脱皮する 近未来を予測する脳科学』(朝日新書)で予測しているように、7年ごとに変化する脳周期(ブレイン・サイクル)では、日本の伝統文化が見直される時期に入っていきます。

 

 

書評は、こちらです。

 

『ヒトは7年で脱皮する 近未来を予測する脳科学』「ヒトの脳には周期がある」と提唱して、新発想がほしいときに使える時間のビュー「感性トレンド」について脳科学の観点から考察している本があり...

 

 

そういうことも考え合わせると、この本は、500年以上の歴史を持つ日本の伝統芸能である華道について、AIにはできない日本人独特の「美意識」を分かりやすく解説していて、とても共感を覚えました。

 

 

ぜひ、1つの軸を持って事業を行いたい、という経営者起業家の方に、一読を薦めます。

 

 

 

あなたも本書を読んで、ブレない自分を育てる「生け花」の奥深さを学んでみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!