書評ブログ

『Z世代の頭の中』

「早期離職、タイパ重視、恋愛しない、飲み会嫌い、スマホ中毒……若者の『それ』本当ですか?」――そんな疑問に真正面から答える一冊があります。

本日紹介するのは、立教大学大学院(MBA)修了、マーケティング会社インフィニティ代表取締役で、「おひとりさま」「草食系男子」などの流行語を生み出した世代・トレンド評論家消費者研究を専門とし、内閣官房や経済産業省などの委員も歴任してきた牛窪恵(うしくぼ・めぐみ)さんが書いた、こちらの書籍です。

牛窪恵『Z世代の頭の中』(日経プレミアシリーズ)

この本は、「Z世代=よくわからない」と思っているすべての大人に向けて、1600人超の大規模調査と55人へのデプスインタビューをもとに、仕事、恋愛、政治、親子関係、消費行動にいたるまで、リアルな若者像を解き明かしてくれる一冊です。

本書は以下の7部構成から成っています。

1.若者は「すぐ辞める」のか――仕事と働き方のナゾ

2.若者は「ニッポン」に興味がないのか――政治と起業、地元志向のナゾ

3.若者は「結婚が面倒」なのか――恋愛と結婚のナゾ

4.若者は「親に甘えすぎ」なのか――家族と出産のナゾ

5.若者は「お金を使わない」のか――消費とSNS、友人関係のナゾ

6.若者と、どう歩んでいくべきか――Z世代と創るニッポンの未来

7.Z世代の皆さんへ 行動経済学に基づく「3つの知恵」

この本の冒頭で著者は、「既存のメディアや大人の側からの “決めつけ” が、Z世代とのギャップを生んでいる可能性がある。真の姿を知るには、現場の声を聞き、自分のフィルターを外して向き合う必要がある」と述べています。

本書の前半では、Z世代の「働く」「政治への関心」「結婚観」などに関する “常識” をくつがえすリアルな実態が明らかにされます。主なポイントは以下の通りです。

◆「会社をすぐ辞める」は一面的な見方

◆ “地元志向” は保守性ではなく “居心地重視”

◆恋愛や結婚を面倒と思うのは「コスパ」「リスク」への意識

◆第一志望内定後に「転職サイト」を見る心理

◆「将来の安心」と「いまの納得」を両立させたい世代

本書の中盤では、「親との関係」「出産観」「お金や消費」に関する価値観が取り上げられます。主なポイントは次の通り。

◆ “親とベッタリ”は家族志向の深化とも取れる

◆「親を尊重するけど、依存はしない」バランス感覚

◆「お金を使わない」は“本質消費”の現れ

◆「SNSでのつながり」がリアルな消費と連動

◆「界隈」の所属が“自己肯定感”を支える構造

さらに後半では、大人世代との付き合い方や、未来をどう築いていくかという視点が提示されます。主なポイントは以下の通りです。

◆大人は「共感」と「観察」の姿勢を持つべき

◆「Z世代と一緒に未来をつくる」視点が必要

◆「押し付け」より「対話」が信頼関係を育む

◆行動経済学の知見で読み解く“世代間のズレ”

◆Z世代本人へのメッセージとしての「3つの知恵」

この本の締めくくりとして、著者は「Z世代の多くは、ただ“慎重”で“考えている”。彼らの行動を表面的に捉えず、その背景にある思考や感情を読み解くことで、世代間の分断ではなく、対話と共創の道が開ける」と語っています。

Z世代を “理解する” ための第一歩として、職場・家庭・社会において必読の一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【3800日目】