「マルチワークやリモートワークが当たり前になるポスト・コロナの社会では、仕事と余暇は日常生活の中で混在し、『どこでも、いつでも働く=Work from Anywhere at Anytime)』を前提とした社会システムへの転換が急速に進むことになる」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、東京大学法学部卒業、国内最大手の生命保険会社を経て、埼玉県本庄市の市議会議員に全国最年少当選(当時)、その後、IBMコンサルティングサービス株式会社、PwCアドバイザリー合同会社等で戦略コンサルタントとしてスマートシティやIoT分野における政府・民間企業の戦略立案および新規事業構築支援に携わり、現在はAirbnb Japan株式会社 執行役員の長田英知さんが書いた、こちらの書籍です。
長田英知『ワーケーションの教科書 創造性と生産性を最大化する「新しい働き方」』(KADOKAWA)
この本は、創造性と生産性を最大化する「新しい働き方」として、ワーケーションの導入方法を企業・個人・地方のために様々な内外企業の事例を紹介しながら考察している書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.なぜ今、ワーケーションなのか
2.私たちが働く理由とワークスタイルの変遷
3.ワーケーションがクリエイティブな組織を創る
4.ワーケーションが地方を再ブランディングする
5.ワーケーションを効果的に実施するためのヒント
この本の冒頭で著者は、「ワーケーションとは、休暇と仕事を混在させた時間を意識的に作り出すことで、創造力=クリエイティビティを引き出す一種の仕掛けなのです。」と述べています。
そしてワーケーションの3つの特性を次の通り挙げています。
◆ 場所的特性: 非日常の場にあること
◆ 時間的特性: 勤務時間中に滞在すること
◆ 心理的特性: 社員が自発的に選択すること
続いて、新型コロナ禍がもたらした企業の意識変化、リモートワークへのシフト、都心オフィスの解約や社員の都心離れの流れについて解説しています。
本書の前半では、「私たちが働く理由とワークスタイルの変遷」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 労働による価値観は、時代とともに変遷
◆ AIやロボットなどのテクノロジーが働き方を変える
◆ 新型コロナ禍を契機に、仕事の分散化志向と人的リソースの重要性の高まり
◆ ワークスタイルの未来は、➀自宅のハブ化とオフィスのシェア、②組織や地域の枠を超えるトライブ型ワーク
◆「職住分離型の暮らし」は20世紀のライフスタイル、ポスト・コロナ社会はITでつながる「職住一体型の暮らし」
◆ ワーケーションは「仕事」と「遊び」を両立する
この本の中盤では、「ワーケーションがクリエイティブな組織を創る」こと、および「ワーケーションが地方を再ブランディングする」ことについて、次のポイントを説明しています。
◆ GitLab社は、オフライン・オンライン会議よりも書面でのやり取りを大事にする
◆ 書面とは、ワード形式のコミュニケーション
◆ 国内企業では、日立製作所、JAL、三菱地所がワーケーションへ先進的な取り組み
◆ 企業にとってワーケーションのメリットは、➀オフィス維持や通勤に関わる「コスト削減」、②SDGsの取り組みとしての「社会的貢献」、③緊急事態に備える「レジリエンス」
◆ ワーケーションに対する懸念は、➀社内コミュニケーションと帰属意識、②仕事のパフォーマンスとクオリティ、③孤独感とストレスマネジメント、④公平・公正な成果管理と人事評価、⑤労働時間の管理、⑥労災・リスク管理
◆ ワーケーションが関係人口創出のカギ
◆ イノベーションを起こす地域の要件は、➀大都市圏からの距離、②集い交わる人の質、③セレンディピティ(偶発力)
◆ ワーケーションがスマートシティの可能性を引き出す
◆ ワーケーションに取り組む長野県、北海道、青森県、ハワイ、神奈川県東部(鎌倉・逗子・横須賀)、千葉県南房総
◆ 地方創生につながる社会貢献型」ワーケーション
本書の後半では、「ワーケーションを効果的に実施するためのヒント」が以下の通り説明されています。
◆ 目的の設定
◆ 場所・施設の設定
◆ コミュニケーションインターフェイスのデザイン
◆ 導入プロセスの設計
◆ どこでも暮らせる「ノマドワーカー」や「アドレスホッパー」
◆ 隈研吾氏が提唱する「狩猟採取型オフィスライフ」
ワーケーションや地方での副業など、「Work from Anywhere at Anytime」という新しい働き方はすでに様々な場で始まっています。私も先日(2021年10月21日)、わが国の開国の地である伊豆下田のワーケーションサイト伊豆下田(三菱地所が運営)にて開催された「伊豆企業経営者×首都圏副業人材のビジネスマッチング合宿」(東急グループ主催)のワークショップにてファシリテーターとしてお手伝いしました。
この本の最後で著者は、「Work from Anywhere at Anytime により、私たちのワークスタイルが場所と時間から解放されたとき、私たちのライフスタイルもまた仕事によらず、暮らす場所を選択できるものへと劇的に変化していく」と述べています。
あなたもワーケーションの価値と可能性について幅広い角度から取り上げている本書を読んで、「旅するように働く」これからの生き方を学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2619日目】