「人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか」と問いかけ、ウェブ時代の読書について論じた本があります。2008年10月という、かなり早い時期に出版された勝間和代さんの、この本を今日は紹介します。
勝間和代『読書進化論 人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか』(小学館101新書)
この本は、「読書好きのみなさまに捧げる、新しい読書本」と著者の勝間さんが銘打って書かれました。冒頭で勝間さんは、これまでの「本をめぐる名著」として、以下の2冊を挙げています。
1.M.J.アドラー『本を読む本』(1940年)
2.梅棹忠夫『知的生産の技術』(1969年)
この両書はいずれも、何世代も前に書かれたもので、新しいウェブという技術が出現した現代では、新たな読書論が必要ではないか、というのが勝間さんが本書を執筆した動機です。
この本は以下の6部より構成されています。
1.成功や自由は、読書で手に入れる
2.人を進化させる読書がある
3.進化している「読む」技術
4.「書く」人も進化する
5.「売る」仕組みを進化させる
6.これから「読みたい」「書きたい」「売りたい」と思っているみなさんへ
勝間さんはインターネットが発達した現代の本について、WEBによる得られる情報と比較して、本のコンテンツは質が高く信頼性がある、と言います。
それはネットによる情報発信は書き手以外の第三者がチェックする仕組みになっていないからです。少なくとも本の場合は編集者の目を通り、出版社による最終確認など、第三者がその内容のクオリティについてスクリーニングをかけています。
また著者は「本ほど人生の疑似体験ができる身近なツールはほかにない」と言い切っています。本は成功への投資であり、読んだ本の成果は仕事や生活で活用すべきです。
人間はうまくできていて、人の体験なのか、自分の体験なのか、情報として手に入れると混ざってしまう傾向があります。また良書との出会いが読書体験を豊かにする秘訣でもあります。
また勝間さんは自身が本を出版した経験から、「本を出すと人生のステージが変わる」と述べています。このことは著者自身がマッキンゼーの先輩である本田佳子さんや川本裕子さんから言われていたそうです。
本田直之さんも言っていますが、「本を出すことはIPO(新規株式公開)に似ている」ということです。本を出すということは、「プライベートな人材からパブリックな人材になる」ということを意味します。
勝間さん自身が2007年から2008年にかけて集中的に以下の本を出した経験を紹介しています。
1.『インディでいこう!』(2006年1月)
2.『無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法』(2007年4月)
3.『無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法』(2007年10月)
4.『お金は銀行に預けるな』(2007年11月)
5.『勝間式利益の方程式』(2008年4月)
また、勝間さんは本を読むときに、「フレームワークがない読書は身につきにくい」として、「目的意識をもった読書」を提唱しています。
勝間さんの読書法は概ね私と共通している。ある程度の速読スキルを身に付けた「多読」によって、自分の抱えている課題があぶり出されてくる。
著者も本を手にしたらまず、帯、目次、はじめに、おわりにをざっと読んで、本のおおよその構造とメインのテーマが分かるということです。
本書の最後には「巻末資料」として、勝間さんが影響を受けた以下の20人の著者が紹介されています。
1.桐野夏生
2.新井素子
3.ジーン・アウル
4.筒井康隆
5.林真理子
6.林真理子
7.林真理子
8.神田将典
9.セス・ゴーディン
10.大竹慎一
11.大前研一
12.三浦展
13.P.F・ドラッカー
14.クリントン・クレステンセン
15.マーカス・バッキンガム
16.シャレド・ダイヤモンド
17.マルコム・グラッドウェル
18.ピーターバーンスタイン
19.ピーター・バーンスタイン
20.ロバート・B・ライシュ
この本は「読む技術」と同時に「書く技術」についても述べています。また、書く技術でも、「コンテンツ力」と「編集力」で「突き抜け感」をを味わい、進化していきます。
皆さんもぜひ、「読む技術」はもちろん、「書く技術」についても目を向け、自らを進化させていきませんか。
では、今日もハッピーな1日を!