「中年悩は驚くほど能力があり、意外な才能がある」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、米国カリフォルニア大学バークレー校(英文学専攻)を卒業後、新聞記者として活躍し、『ニューヨークタイムズ』の科学・健康・医療系記事の副編集長を務めるバーバラ・ストローチさんが書いた、こちらの書籍です。
バーバラ・ストローチ『年をとるほど賢くなる「脳」の習慣』(日本実業出版社)
この本は、人間の脳は、中年に達すると実際に再構成がはじまり、行動や考え方も変わり始めること、そして脳は中年期にその能力の頂点に達し、長い間その頂点を維持することを、様々な脳科学の研究成果を紹介しながら伝えてくれる書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.プロローグ 研究成果からわかってきた「中年悩」
2.「中年になると脳は衰える」というのはウソ
3.本当はすごい「大人の脳」
4.より健康な脳を作るための習慣
5.エピローグ 真の年齢とは、この先何年生きられるか
この本の冒頭で著者は、これまで常識と考えられていた「人間の脳は衰える」という思い込みを払拭する、「前向きで衝撃の事実」を以下の通り、述べています。
◆ 重要な脳の機能に起こる深刻な欠損は70代後半まで発現せず、多くの場合は70代後半をすぎでも発現しない
◆ 年をとるほど脳は物事をパターン化できる(脳はつながりのパターンを蓄積する)
◆ 中年期あたりになると幸せを感じることが多くなる
◆ 脳がうわの空になる「デフォルト・モード」という状態がある
◆ 「知恵」の細胞脳は、中年期からも増え続ける
◆ 年をとるにつれ、私たちの脳は強力になり、問題を解決するためにより多くの部分を使うようになる
◆ 中年は要点をつかみ、状況を正しく評価して、軽率にではなく慎重に行動する
◆ 年をとってもニューロンが大量に失われない
◆ 「経験」や「熟練」で脳は変化、「認知的熟練」と呼ぶ
◆ 中年悩はときどき間違いをするが、その認知的能力は成長し続ける
また世界観が広がったり、パターンを識別する能力、点と点を結びつけて全体像が見えるようになる能力、創造的になるのは、脳の老化現象そのものである、と著者は言います。
この本には、中年以降の人たちが勇気を貰えるような事実が数多く紹介されています。とくに私が感銘を受けたのは、次のような事実です。
◆ 「人生の残り時間」を自覚することで、「積極性効果」と呼ぶ、年をとるにつれて肯定的な情報に集中することが多くなるという結果
◆ 最も懸命だったのは65歳前後
◆ 自分以外のことに集中する人が最も賢かった
◆ 中年脳は「要旨」をつかみシンプルにすばやく結論に導く
◆ 「名前のド忘れ」は正常な加齢の一部で、問題は蓄えることではなく「引き出す」こと
◆ 年長者の脳は、困難に直面すると適切で必要な処理をする
◆ 教育レベルが高いか低いかで、脳がいかによく年をとるかが決まる
◆ アルツハイマー病になるかどうかは「教育」を受けた期間が左右する
◆ 運動、ランニングが新しい脳細胞を作り出す
◆ エクササイズだけが新しいニューロンを生成する
◆ 新しいニューロンができるのは、たいへん複雑な課題や特定の目標に集中しているとき
◆ 脳によい食べ物、エクササイズ、トレーニングがある
この本の監修をしている脳研究者の池谷裕二さんは、老人は次の5つのタイプに大別される、というアメリカの心理学者シザンヌ・ライチャード博士の指摘を紹介しています。
1.円熟型(現実的な展望を持って老いを自覚)
2.依存型(消極的に老いを受け入れ)
3.装甲型(老いへの不安と恐怖からトレーニングを行う)
4.内罰型(人生を失敗とみなす)
5.外罰型(過去を失敗とみなし、老化を受け入れず、攻撃的に)
若者にはこうしたタイプ分類はなく、人生の成否を決めるのは中年期である、と池谷さんは述べています。
この本は、中年期の大切さを脳科学の観点から、科学的・論理的に解説したもので、人生のあり方に多くの示唆を与えてくれる良書として、ぜひお薦めしたい一冊です。
あなたも本書を読んで、年をとるほど賢くなる「脳」の習慣を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!