「良いアイデアが生まれないのは、能力不足ではなく“問い”のデザインが間違っているからだ」― そんな本質を突きつける一冊があります。
本日紹介するのは、1985年生まれ、東京大学工学部卒業後、同大学院学際情報学府博士課程修了(博士・学際情報学)、東京大学大学院情報学環特任助教を経て、現在は株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEOとして、人と組織の創造性を引き出す方法論を研究・実践している安斎勇樹(あんざい・ゆうき)さんと、1973年生まれ、京都大学工学部卒業後、同大学院工学研究科修了(博士・工学)、経済産業省産業技術政策課課長補佐を経て、現在は京都大学総合博物館准教授としてキャリア教育や企業研修の第一線で活躍し、平成29年度文部科学大臣賞を受賞した塩瀬隆之(しおせ・たかゆき)さんの共著によるこちらの書籍です。
安斎勇樹・塩瀬隆之『問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』(学芸出版社)
この本は、商品開発や組織変革、人材育成など複雑な課題解決の現場で、問題の本質を見抜き、解くべき課題を正しく設定し、創造的対話を促進するための思考法とスキルを体系化したものです。日本の人事部「HRアワード2021」書籍部門最優秀賞、さらに「読者が選ぶビジネス書グランプリ2021」総合7位に選ばれた必読の一冊です。
本書は以下の4部構成となっています。
1.問いのデザインの全体像
2.課題のデザイン ― 問題の本質を捉え、解くべき課題を定める
3.プロセスのデザイン ― 問いを投げかけ、創造的対話を促進する
4.問いのデザインの事例
この本の冒頭で著者は、「本当に解くべき課題を正しく設定できなければ、どんな工夫をしても創造的な対話は生まれない」と指摘しています。
本書の前半では、「問いのデザインの全体像」および「課題のデザイン」について詳しく解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆問題と課題の違いを理解し、解決の対象を明確にする
◆「課題設定の罠」に陥らないよう、問題をリフレーミングする
◆目標を整理し直し、課題を定義する具体的手順を提示
◆「問題を捉える思考法」で多角的に検討する重要性
◆問いの精度が、その後のプロセス全体を左右する
この本の中盤では、プロセスのデザインが取り上げられます。主なポイントは次の通りです。
◆ワークショップの問いを設計し、対話を深める仕組みを構築する
◆問いの良し悪しを評価する方法を提示する
◆ファシリテーターに求められるコアスキルを具体的に解説
◆対話を深める技術や芸風によって創造性が引き出される
◆効果を高めるファシリテーションの工夫を数多く紹介
本書の後半では、実践事例を通じて問いのデザインの効果が示されています。主なポイントは以下の通りです。
◆企業における商品開発・組織変革の現場での活用事例
◆地域社会の課題解決に寄与するワークショップの実践
◆学校教育におけるキャリア教育や探究学習での応用
◆多様なステークホルダーを巻き込みながら創造性を発揮する方法
◆実例を通じて「問い」がチームの一体感と成果を生むことを証明
この本の締めくくりとして著者は、「創造的対話は偶然ではなく、問いのデザインによって必然的に生まれる」と述べています。
課題解決やイノベーションを推進するリーダーにとって、本書は “対話を進化させる必携の教科書” になるでしょう。
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では、今日もハッピーな1日を!【3856日目】