「定年がなくなる時代に、どうすれば“働き続けてほしい人”になれるのか?」という問いに正面から向き合った実践的な書籍があります。
本日ご紹介するのは、日立製作所勤務を経て、教育事業会社でのカリキュラム開発・講師経験を活かし、現在は(株)社会人材コミュニケーションズ代表取締役社長・(一社)社会人材学舎代表理事として活躍する中小企業診断士・MBAの宮島忠文さんと、日本女子大学文学部卒業、早稲田大学大学院商学研究科修了後、金融機関を経て日本総合研究所に入社、現在は経済社会システム総合研究所客員主任研究員を務めるCFP認定者・キャリアコンサルタントの小島明子さんが著した、こちらの書籍です。
宮島忠文・小島明子『定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図』(日本経済新聞出版)
この本は、70歳までの就業機会確保が努力義務となった現代において、企業と個人がどのように“働き続けてほしいシニア”を育てていけるのか、その設計図を提示した実務的ガイドです。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.ミドル・シニアの働き方の問題が解決されないのはなぜか
2.“なぜか働き続けてほしい人”の10の理由
3.“働き続けてほしい人”は組織の中で増やせるのか
4.超高齢社会の日本に求められること
この本の冒頭で著者は、「定年が視野に入るころ、『裏切られた』という思いを抱く人が多い」という現実と、役職定年後の“妖精さん”扱いの実態について警鐘を鳴らしています。
本書の前半では、ミドル・シニア人材に対して企業がなぜ活用を進められないのか、その制度的・意識的な障壁を以下のような観点で明らかにしています。
◆ “変わらない人事制度”が意欲ある人を活かせない構造
◆ ミドル・シニアの採用・転職が進まない現実的要因
◆ リスキリングに対する“学ばない・学べない”空気
◆ 社会全体でのマッチング・メカニズムの機能不全
本書の中盤では、「働き続けてほしい人」の条件について、具体的な10のキーワードを提示しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 年齢を重ねるごとに“器”が大きくなる人材
◆ ネガティブな言葉を吐かず、傾聴を重視する姿勢
◆ いくつになっても真摯に学び続ける意欲
◆ 行動を起こし、新しい挑戦を恐れない人
◆ 自身の経験を“きちんと”活かせる成熟性
後半では、こうした人材を組織内でどう増やしていけるか、さらに日本社会全体でどうミドル・シニア活用を促進すべきかが述べられています。主なポイントは以下の通りです。
◆ “健全な焦燥感”を育む職場環境の重要性
◆ 高い役職=プロジェクトリーダーとは限らない現実
◆ プロボノ、副業、インターンなど多様な働き方の活用
◆ 大企業での50代以降の中途採用推進と中小企業の若者信仰打破
◆ 両立支援施策や“稼ぐ力”を保ち続ける支援の必要性
この本の締めくくりとして著者は、「代替可能な人材を増産しないためのキャリア形成支援と、新しい働き方の制度設計」が、これからの日本社会に欠かせないと訴えています。
あなたも本書を読んで、ミドル・シニアとして「働き続けたい」「働き続けてほしい」と思われる存在になるための設計図を手にしてみませんか?
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では、今日もハッピーな1日を!【3755日目】