会社員でも公務員でもない自営業のノンフィクション作家が、「定年」とは一体、何なのだろうか、と疑問に思い、様々な業種の会社員や公務員を取材して考察した本があります。
本日紹介するのは、テレビ番組製作会社を経て、ノンフィクション作家として活動する高橋秀実さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
高橋秀実『定年入門 イキイキしなくちゃダメですか』(ポプラ社)
この本は、日本における「定年制」の歴史を辿り、その後現在では、多くの会社員や公務員が「定年」をどう受け止め、「定年」を機にどのように生活が変化しているのかを取材によって明らかにし、紹介している書です。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.超法規的な風習
2.プライドのゆくえ
3.おはようおかえり
4.テイスト・オブ・定年後
5.特に何も変わりません
6.ただの人になれますか?
7.平等なカルチャー
8.問題ない問題
9.人生のマッピング
10.あとがき-定年がうらやましい
この本の冒頭で著者は、日本においては「定年は超法規的な風習だ」と述べています。実際に、欧米やオーストラリアでは、パイロットなど一部の職種を除いて「定年制」は禁止されているそうです。
そうした風習の中で、実際に会社員や公務員が「定年制」をどうとらえ、実際に仕事を引退したり、働き方を変化させたりしている現状を、取材によって明らかにし、本書で紹介しています。
著者が取材して、この本で取りあげている方の職業は以下の通り、バラエティに富んでいます。
◆ 商社
◆ 商業施設の運営会社
◆ スーパー
◆ 工場勤務
◆ エネルギー会社
◆ 肌着メーカー
◆ 出版社
◆ 化学系メーカー
◆ 国際援助機関
◆ 百貨店
◆ 秘書
◆ 銀行
◆ 医師
◆ 航空会社
◆ 公務員
◆ 教師
◆ 石油関連会社
◆ 日本語教師
◆ 印刷関連会社
◆ 電機メーカー
定年退職後の仕事や生活については、人によって様々です。仕事では、マンション管理人、清掃、スーパーの仕事などが求人が多く働きやすい、と言います。
また、カルチャーセンターで学び直す、釣りなどの趣味に生きる、俳句や陶芸など芸術の道を志す、料理などの家事や図書館を活用するなどの過ごし方が多い。
また、語学の習得、旅行、農業、福祉など、様々な活動で忙しくしている定年退職者も多く紹介されています。
いずれにしても大切なのは、「きょういく」と「きょうよう」。これは教育と教養ではなく、「今日、行く」ところがある、「今日、用」がある、というスケジュールや生活のリズムだ、ということです。
この本の最後の「あとがき」で著者は、「定年」は一種の〆切で、これがないと仕事も終わらないように、「定年」によって人生に区切りができるのでよいのではないか、と述べています。
あなたも本書を読んで、改めて「定年」の意味について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を