「寺は墓参りや葬儀のときにだけ行く場所、観光でお参りするところ。そう思っている人が多いだろう。だが、実は寺はつながりの場、家でも会社でもない居場所を提供できる場だ。時には社会課題向き合って解決につながる可能性を秘めた場でもある。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、朝日新聞記者を経て独立し、墓や葬儀の変化を通して見える家族や社会の変質に興味を抱き、取材・研究を続ける立教大学社会デザイン研究所研究員の星野哲さんが書いた、こちらの書籍です。
星野哲『「定年後」はお寺が居場所』(集英社新書)
この本は、コンビニエンスストアよりも数が多い7万を超す身近な寺が、様々な可能性を持っていることを伝え、あなたが孤独を感じたとき、生きていくうえで壁にぶち当たったときに役に立つように書かれた書です。
本書は以下の6部構成からなっています。
1.寺は生きている人のためにある
2.出会いの場としての寺
3.子育ても、寺で
4.人の悩みに寄り添う寺
5.人生の終末を支える寺
6.居場所としての寺に出会うには
この本の冒頭で著者は、「生きているうちにお寺に行こう。お坊さんと話をしてみよう。」と述べています。「寺は生きている人のためにある」ということです。
本書の前半では、「寺は生きている人のためにある」および「出会いの場としての寺」をテーマとして著者の考えを説明しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 人口減少で、寺を取り巻く環境はとても厳しい
◆ 家族や地域コミュニティの弱体化で社会的孤立が深刻化
◆ 少子高齢化で「おひとりさま」が増加
◆ 寺がもともと持っていた機能を取り戻す「寺ルネサンス」
◆ 仏教、お寺、お坊さんを身近に感じることができる場所「茶坊えにし」
◆ サードプレイスになり得る「お寺」
◆ 日本一若者が集まる「劇場」寺院・應典院(大阪市)
◆ アート、対話、関心でつながるコミュニティ
◆ お寺主催の婚活「寺コン」
◆ 寺なら安心と言う「信頼がベース
この本の中盤では、「子育ても、寺で」および「人の悩みに寄り添う寺」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 子育ての悩みを共有
◆ 本堂が親子のあそび場
◆「ちゃれん寺」という遊びの場を提供
◆ 家の提供や保育園の開設
◆ 仏さまへの供物をひとり親家庭へ届ける「おてらおやつクラブ」
◆ 悩み相談の80分面談
◆ 自死、自殺にも向き合う
◆ ギブ&ギブの精神で住職と語る会
◆ 人生の先輩との出会いや「やりがい」を見つけるお手伝い
◆ 身元保証、フードバンク
◆ 救護施設の開設
◆ 過疎の地元を元気に
◆ 空き民家の活用
本書の後半では、「人生の終末を支える寺」および「居場所としての寺に出会うには」について、解説しています。主なポイントは次の通り。
◆「いのち」に向き合う
◆ ホスピスや緩和ケア病棟へ
◆ 生前契約で老後から死後まで支える
◆ コミュニティケア目指し介護事業
◆ 永大供養墓でコミュニティづくり
◆ コミュニティの核となる寺
◆ 寺からネットで発信
◆ お寺検索のポータルサイト「寺子屋ブッタ」「まいてら」
◆ 掲示板やイベントも
◆ 葬儀、法要も出会いの場
この本の締めくくりとして著者は、「多死時代を迎え、国は病床数を減らす一方で、在宅での看取りを推進すしている。住み慣れた場所で最期をという地域包括ケアシステムだが、お寺がその核のひとつになる」と著者は言います。
あなたも本書を読んで、定年後の「居場所」、地域コミュニティの場としての寺について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2718日目】