二条城前の喫茶店で飲んだカプチーノの味がきっかけで、鳥取県の山村で長年、地域づくりをしてきた著者が、定年後に京都に移住して、第二の人生をスタートした様子を描いた本があります。
本日紹介するのは、鳥取県智頭町に生まれ、村おこしや地域活動をしてきた後、定年後は京都に移住して、地域経営まちづくり塾を行っている寺谷篤志さんが書いた、こちらの書籍です。
寺谷篤志『定年後、京都で始めた第二の人生』(岩波書店)
この本は、心地よく「憩う」という生き方を選び、定年後に京都に移住して、一瞬一瞬を真摯に人や物事と向き合うことで光明を見つけようと生きてきた軌跡を描いた書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.そうだ!京都に住もう
2.縁もゆかりもない新天地で暮らす
3.社会に学びの場を創る
4.マンションを子供たちのふるさとに
5.地域経営の知恵を暮らしの中に
6.東山に陽が昇り、松尾さんに沈む
この本では、著者夫婦がJR京都駅に降り立った時から、京都に移住して様々な活動をする様子を描いています。
広島から鳥取県智頭町へ帰郷して28年間暮らしてきた地を去るのはさまざまな思いがあったそうです。しかし、「これで田舎暮らしのわずらわしさからいっさい解放されるという解放感がたまらなく心地良かった」と著者の寺谷さんは述べています。
定年後をどう暮らすのか、というヒントがここに隠されている気がします。
本書には、京都での第二の人生での多くのエピソードが紹介されていますが、印象に残るものを以下に挙げておきます。
◆ 禅の言葉「一期一会」と「道中工夫」を実践
◆ 高杉晋作の歌「面白き こともなき世を 面白く すみなすものは 心なりけり」を実践
◆ 車はいらない、は正解
◆ 出会ったら笑顔であいさつ
◆ 情報は発信しないと返ってこない
◆ 社会に学びの場を創る
◆ 「地域経営まちづくり塾」を開講
◆ 「地方創生」から「地域経営」へ
この本ではとくに「地域経営」という考え方を著者は提唱していて、それには住民が主体的に地域社会を捉えていくことが大切だ、述べています。
つまり、一人ひとりが社会的に必要な「事=テーマ」を見出し、身近で小さな「事起こし」をすることによって、社会を変えていくことが可能になるのです。
こうした考え方は、著者の30年にわたる鳥取県智頭町での取り組み「日本・ゼロ分のイチ村おこし運動」を原点にしていて、その活動は、明治大学教授・小田切徳美先生の著書『農山村は消滅しない』(岩波新書)にて我が国の地域づくりのモデルとして紹介されています。
またその後、著者の寺谷さんは、「地域経営」の概念、「事お越し」の言葉、「思考のデザイン」による視点・観点・起点と、集団による合意形成法としての「四面会議」などの解説を、共著で以下の本にまとめました。
さらに寺谷さんは、社会を丸ごとデザインする、という考え方の下で、京都のマンションを子供たちのふるさとにする「防災の安心」「つなられる安心」「いつづけられる安心」をキーワードに取り組みを行っていて、それを本書の後半で記しています。主な活動は以下の通り。
◆ 植木の補植、手入れ
◆ 責任ある体制づくり
◆ 地域盆の活動
◆ 紅葉を観る会、クリスマス会、桜を観る会、ハロウィーンなどの行事でつながりを
◆ 事なかれ主義から事有主義へ
◆ 質素倹約は真の豊かさ
◆ 死ぬまでの生業として「書くこと」を
◆ アドラー心理学との出会い
この本では、俳優の片岡鶴太郎さんの「ヨガや食事で養生しながら100歳まで生き、日向ぼっこをしながら逝きたい」という言葉も紹介しています。
あなたも本書を読んで、定年後の「第二の人生」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を