「定年というのは会社員にとっては人生の一大事です。一体、何が一大事なのかというと、それまで慣れ親しんできた生活が定年によって激変するからです。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1952年大阪府生まれ、野村証券で定年まで勤務した後に独立、2001年に確定拠出年金法が施行される前から2012年独立後は、「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるように支援する」という理念のもと、資産運用やライフプランニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行っている、経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表の大江英樹さんと、1967年愛知県生まれ、野村証券で一貫してサラリーマンの資産形成業務に携わり、2012年に独立、確定拠出年金の分野においては我が国の草分け的存在で、厚生労働省社会保障審議会委員を務める大江加代さんが書いた、こちらの書籍です。
大江英樹・大江加代『お金・仕事・生活…知らないとこわい 定年後夫婦のリアル』(日本実業出版社)
この本は、一般論ではなく、著者ご夫婦が、自分たちの体験に基づくリアルな話を、生活、仕事、お金、健康、コミュニケーションといった60歳からの人生のあらゆる面に焦点を当て記した書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.生活
2.仕事
3.お金
4.健康
5.コミュニケーション
6.終活
7.夫婦放談~英樹&加代かく語りき~
この本の冒頭で著者は、「人はそれぞれで、必ず『こうしなさい』とか『こうしなければならない』というものはありません。好きにやればいい。」と述べています。
本書の前半では、「生活」および「仕事」について、以下のポイントを紹介・説明しています。
◆ 相手の趣味に一度は付き合うが、合わせる必要はない
◆ 夫の家事を手伝うなら、「名もなき家事」を黙ってやる
◆ 褒めて育てるのが「家事シェア」のコツ
◆ コミュニティは大切
◆「働く」ことは、収入以外に「健康」などの効用もある
◆「好き」と思える仕事にするのが長く働くポイント
◆ 社長になれないなら、早く「成仏」するほうが幸せ
◆ 自営業は非安定だけど仕事が面白い
この本の中盤では、「お金」および「健康」について、著者ふたりの体験・ノウハウを紹介・解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 定年前に老後のお金を「見える化」する
◆ 年金の本質は「保険」なので、損得を考えても意味がない
◆ 年金を繰り下げて受給する場合、受給開始から11年11カ月生きると得になる
◆「何歳まで働くか」というライフプランが大切
◆ おひとりさまの老後は「お金が大事」
◆ 60歳以降の健康はストイック過ぎず、「自然体」がいい
◆ 60歳からは、①十分な睡眠、②腹七分目、③適度な運動
◆ 朝型生活で生産性アップ
◆ 社長は自分で物事を判断するので長生きする(選択の自由)
本書の後半では、「コミュニケーション」および「終活」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 夫婦でも適度な距離感を持って、相手を尊重
◆ 会話不足を補う「ありがとう」の言葉
◆ 気持ちをこまめに伝えることが大切
◆ 男性は「解決指向」、女性は「共感指向」
◆「終活」は家族と相談しながら淡々と進める
◆ 筋力、体力、気力のある70歳代前半までに断捨離をして生活をダウンサイジング
◆ 遺言書は遺書ではない、これからどう楽しんで生きるかを考えるキッカケになる
◆ お墓は遺族のためのもの、近場で生きやすいところがいい
この本の巻末には、「夫婦放談~英樹&加代かく語りき~」と題して、本音での対談が掲載されています。主なポイントは次の通り。
◆「仕事が趣味」と言うサラリーマンは実は「出世が趣味」
◆ 将来受け取る年金額を「見える化」して愚案を解消
◆ 退職金で投資デビューではなく、少額でグローバルに分散された投資信託を積み立てる
◆ 不安ビジネスに左右されず、現実的な視点をもとう
この本の締めくくりとして著者は、「誰にとっても自分たちの人生は自分たちで決めればよい」「人が何をしようが、何と言おうが、それは関係ありません」と述べています。
私も拙著『定年ひとり起業』(自由国民社)および『定年ひとり起業マネー編』(自由国民社)に記したように、妻が社長のファミリーカンパニーを設立して、夫婦で起業して定年後も仕事を続けている状況なので、本書で紹介されている「具体的な選択」や「リアルな役割分担・考え方」はとても参考になりました。
あなたも本書を読んで、「定年後夫婦のリアル」を参考にしながら、定年後の夫婦のあり方を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2964日目】