「人生100年時代の最大のリスクは、単身で生きる時間が長くなることだ」――そんな現実を突きつける一冊があります。
本日紹介するのは、1981年東京大学文学部を卒業後、1986年に同大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在は中央大学文学部教授として、親子・夫婦・恋人などの人間関係を社会学的に読み解き、「パラサイト・シングル」や「格差社会」という言葉を世に広め、「婚活ブーム」の火付け役としても知られる家族社会学の第一人者・山田昌弘(やまだ・まさひろ)さんが書いたこちらの書籍です。
山田昌弘『単身リスク 「100年人生」をどう生きるか』(朝日新書)
本書は、「人生100年時代」を迎えた現代社会において、誰もが避けて通れない “単身で生きるリスク” を正面から論じた一冊です。
著者は、自己責任論が行き過ぎた社会構造を批判しつつ、「単身化」が進む日本における新しい社会の在り方を提言しています。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.「リスク社会」をいかに生き抜くか
2.「自己責任社会」をいかに超えるか
3.社会のセーフティネットをいかにつくるか
4.「人生100年時代」のターニング・ポイント
5.「幸福な長寿社会」のつくり方
この本の冒頭で著者は、「ただ長く生きるだけでなく、幸せに長く生きる。これが本書のテーマである。」と述べています。
本書の前半では、「リスク社会」を生き抜くために必要な視点が示されています。
自由と多様性が広がる一方で、選択に伴うリスクが増大し、個人がすべてを背負う構造が進んでいると著者は指摘します。主なポイントは次の通り。
◆ 選択肢が増えるほど、リスクも増大する現代社会
◆ 「自己責任」という言葉が人を孤立させる
◆ リスクを個人で抱え込むことの危うさ
◆ 単身世帯の増加が示す社会の変化
◆ もはや「家族依存モデル」は成り立たない
この本の中盤では、「自己責任社会をいかに超えるか」および「社会のセーフティネットをいかにつくるか」が解説されています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 「失敗してもやり直せる」社会制度の構築
◆ 若者・中年層が直面する「孤立の連鎖」
◆ 働き方改革だけでは解決できない根本問題
◆ 教育・雇用・福祉の三位一体改革が不可欠
◆ 自己責任から“相互扶助社会”への転換
本書の後半では、「100年時代のターニングポイント」および「幸福な長寿社会のつくり方」について、社会保障とコミュニティの再構築が提案されます。主なポイントは以下の通り。
◆ 「家族」以外のセーフティネットを構築する
◆ 「中間層のリスク」をどう軽減するか
◆ 公的支援と地域コミュニティの再生
◆ 人とのつながりが生み出す“社会的資本”の重要性
◆ 「100年人生」を幸福に生き抜くための条件
本書は、「自己責任」という言葉に縛られてきた日本社会に根本的な問いを突きつけています。長寿社会を前向きに生きるためには、「個人で抱え込まない社会」へのシフトが不可欠であり、そのための制度設計と意識改革が今まさに求められています。
著者が提唱する “単身リスク” の本質は、孤立の問題ではなく、「社会のつながり方の再定義」にあります。この本は、単身で生きる人々だけでなく、すべての世代にとっての未来の指針となるでしょう。
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