「家計管理の真の目的は、現在も未来も、自分と家族が価値をおくものにお金を使い、幸せに暮らしていくことです。そう考えると、短期視点で見ているだけでは不十分だということがわかります。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、監査法人勤務を経て独立、現在は経営相談、講演、執筆活動を行っている公認会計士、税理士、LEC会計大学院客員教授、元明治大学会計職大学院特任教授の林 總(あつむ)さんが書いた、こちらの書籍です。
林 總『正しい家計管理 長期プラン編』(すみれ書房)
この本は、『新版 正しい家計管理』(すみれ書房)の続編として、数年先、数十年先という長期の視点で、人生とお金の動きの全体像を把握するために書かれた書です。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.家計管理の目的と哲学
2.「老後のお金」を考える
3.将来の収入を予測する
4.価値にもとづいて支出を予測する
5.働き方を考える
6.住まいのプラン
7.教育費のプラン
8.健康と保険
9.貯蓄プランを立てる
10.長期プランの確定
この本の冒頭には、「長期プラン表」(裏表で下書き用・清書用)が付属されていて、実際に長期プランを作成できるようになっています。
本書の前半では、「家計管理の目的と哲学」および「老後のお金を考える」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 家計管理の目的は、自分と家族が現在も未来も幸せに暮らすこと
◆ まず自分の価値観を明確にすること
◆ 価値観を実現するために家計管理をしていく
◆ 家庭にとっての第一の責任は、存続すること
◆ 毎月1円でもいいから毎月純資産を増やすこと
◆ 純資産を増やす大前提は、「支出を収入以下に抑える」こと
◆ 家計簿ではなく、財産目録をつける
◆ 自分と家族の夢や目標をかなえるためにお金を使う
◆ 家計管理の3つの視点「短期」「中期」「長期」
◆「長期プラン」専用のノートを用意する
◆ 人生の北極星を見据える(定年後の将来ビジョン)
◆ 著者の北極星は、65歳までに住宅ローン完済、3000万円+αの老後資金、月30万円の収入(勤労所得+年金)
◆ 老後とは、「世帯収入がこれまでの50%以下に移行したとき」
◆ 老後の生活は、現在と地続き
◆ 65歳以降は、勤労所得がないストレスと管理不能支出からの解放
◆ 理想の老後生活に優先順位をつける
この本の中盤では、「将来の収入を予測する」「価値にもとづいて支出を予測する」および「働き方を考える」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 人生には4つのステージがあり、お金の貯め時は第1と第3ステージ
◆ 収支予測は第4ステージ北極星から考える
◆ 公的年金を計算してみる
◆ 住宅、教育、老後の人生3大資金をマクロな視点で考える
◆ 管理不能支出と管理可能支出
◆「お金がかかる」から「お金をかける」へ
◆ 死ぬまで働きたい人は、「知識労働」で人より一歩先を行く、軸足を定める
◆ 何歳まで働くかを家庭というチームで主体的に考える
本書の後半では、「住まいのプラン」「教育費のプラン」「健康と保険」「貯蓄プランを立てる」および「長期プランの確定」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 住宅は賃貸ではなく、購入する
◆ 住宅は広さよりも立地を優先し、リスクヘッジとしてすぐ売れること
◆ 家を買って貸すことも考える
◆ 一生を通じて、ベストな住まいを追求する
◆ 自分なりの人生観や職業観を反映した教育費の使い方を
◆ 教育費はいちばんお金のかかるパターンで予測する
◆ 健康リスクへの備えは、保険と預金の両輪で行う
◆ 公的な社会保障制度を知る(医療・介護)
◆ 長期プラン表の「強制預金」欄に記入
◆ 長期プラン表の収支を合わせる
◆ 節約ではなく、行動を見直す
◆ 笑いながら人生を終えられるプランになっているか
◆ 年に一度、プランを見直す
この本で提唱している「老後の理想の生活」から長期プランを家計の収支で考えるという方法は、私が拙著『定年ひとり起業マネー編』(自由国民社)および『定年ひとり起業』(自由国民社)で提示している「老後マネープラン」と同じコンセプトで強く共感しました。
この本の締めくくりとして著者は、「勝つためには計画が必要なのです。」「もうひとつ、長い人生を生き抜く上で重要なのは、無理をしないことです。」と述べています。
さらに巻末には、付録として、「正しい家計管理 長期プラン編」体験記が掲載されていて参考になります。
あなたも本書を読んで、自分と家族が現在も将来も幸せに暮らすための「正しい家計管理」で長期プランを作成してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2953日目】