型破りのエース、森金融庁長官が進める大改革が何を目指すのか、について書いた書が出版されました。
本日紹介するのは、共同通信社経済部記者で、証券、大手銀行、金融庁の担当などを歴任した橋本卓典さんが書いた、こちらの新刊新書です。
橋本卓典『捨てられる銀行』(講談社現代新書)
この本は、「金融検査マニュアル」が廃止され、地域の顧客にリスクをとれない銀行は消滅する、と指摘しています。
そうした新しいビジネスモデルが求められる時代に「生き残る銀行」とは?、という問いに答えようとしているのが本書の試みです。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.金融庁の大転換
2.改革に燃える3人
3.「選ばれる銀行」になるために
4.新しい4つのビジネスモデル
5.森金融庁改革の行方
本書の冒頭で著者は、2015年7月に9代目の金融庁長官に就任したエースの森信親氏による新たな「行政方針」がこれまでの方針を大きく変革するものであることを強調しています。
森長官の持論は、「多くの地域金融機関は、地域の経済の発展なくしては、発展も持続可能性もない。地域の企業、産業をよくすることで金融機関自らが良くなるという両立が必要だ。」ということです。
したがって、「健全性とは、この時点の話ではなく、将来に向けての健全性のはずだ」という解釈になります。
その核心は、「金融仲介の改善に向けた検討会議」の設置という形で示された、「担保・保証依存の融資姿勢からの転換、産業・企業の生産性向上への金融仲介のあるべき姿」を考えていく、ということに現れています。
そして、地銀が地方創生に貢献しているかを「ベンチマークの導入」によってチェックしようという方針が「行政方針」に盛り込まれました。それは以下の3つのKPIです。
1.金融機関が主力とする企業の経営改善や成長力の強化
2.持続可能性に懸念がある企業の抜本的事業再生や早期転廃業等円滑な新陳代謝の促進
3.担保・保証依存の融資姿勢からの転換
さらに、森長官の思い切った行政手腕の象徴となるのが、不良債権処理のバイブルになっていた「金融検査マニュアル」の廃止です。
時代が大きく変化する中で、金融危機という戦時のマニュアルだった「金融検査マニュアル」こそが、地方銀行の転換を妨げる元凶になっているという認識の下で、誰も手を付けられなかった「マニュアル廃止」を断行しました。
さらに、担保・保証の有無ではなく、「事業性評価」という、本来、銀行マンには最も重要とされてきた役割を明確に求めるように変わってきました。
森長官は、広島銀行の事例など、特定の地銀の優れた取り組み事例を水平展開させる方式で、地域金融機関の指導を進めていきます。
そして本書の後半では、「新しいビジネスモデル」が求められる時代において、「生き残る銀行」とは、という問いかけと、そのヒントを示しています。
民間人の登用・抜擢や、思い切った中小企業ヒアリングなど、様々な新基軸で金融庁と金融行政をリードする森金融庁長官の危機感と信念に基づいた行動、実績を本書は余すところなく伝えています。
あなたも本書を読んで、顧客や金融庁に見捨てられる銀行の見極めを、しっかりと行うようにしませんか。
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では、今日もハッピーな1日を