書評ブログ

『なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか?』

「今、この社会のどこかに存在する『好きなことを、自分のペースで楽しみながら生きていくために起業したひとたち』を肯定していく。そのために、自営業者とみなされ、経営学の対象から(不当にも)外されてきた人たちを、新しい世界の担い手=ライフスタイル企業家フィールドから発見して、その具体的な行動を『そこそこ起業』として解き明かしていく」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1974年生まれ、神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了、の博士(経営学)で、沖縄大学法経学部専任講師、滋賀大学経済学部准教授、首都大学東京大学院社会科学研究科准教授を経て、現在は東京都立大学大学院経営学研究科准教授高橋勅徳さんが書いた、こちらの書籍です。

 

高橋勅徳『なぜあの人は好きなことだけやって年収1000万円なのか? 異端の経営学者と学ぶ「そこそこ起業」』(集英社)

 

この本は、好きなことや、これまで培ってきた簡単なスキルをちょっと利用するだけで、投資をせずとも家族を養うのに十分な収入、たとえば年収1000万円クラスの稼ぎを実現する「そこそこ起業」が、この世界にはたくさん「ある」という現実を伝えるために書かれた本です。

 

本書は以下の12部構成から成っています。

1.音楽と共に生きる沖縄ミュージシャンのビジネス構造

2.趣味を束ねて楽しく生きていく達人

3.同人誌の世界に学べ! 推しエコノミーの本質

4.異色肌ギャルメイクから考える「レジリエンス」

5.最果てのゲイタウンが教えてくれる「商店街活性化」の鍵

6.伝説のカーショップでわかった「起業がもたらす幸福」

 

7.キッチンカーでラーメン屋? 屋台が人間を解放してくれる理由

8.山で生きる祖父が体現していた、本当の意味での「稼ぐ力」

9.歌舞伎町の飲み屋にいる怪しいオジサンの「ニッチ」な儲け方

10.シーラカンスのように生き残る日本の1000年企業のスゴさ

11.魚のさばき屋さんからサービスの「価格」を考える

12.小説紹介を生業にするもう一つの冴えたやり方

 

この本の冒頭で著者は、「近年の企業家研究は、『自分が人生を楽しむ手段』として、ライフスタイル企業家を肯定しています。実際に、『そこそこ起業』という道を選んだことで、どこかの組織に所属して社会人をやっていくことの『生きづらさ』から解放され、自分の人生を取り戻した人もたくさんいます。」と述べています。

 

本書の前半では、「音楽と共に生きる沖縄ミュージシャンのビジネス構造」「趣味を束ねて楽しく生きていく達人」「同人誌の世界に学べ! 推しエコノミーの本質」および「異色肌ギャルメイクから考えるレジリエンス」について以下のポイントを説明していま す。

◆ 息の長い活動が続く沖縄のミュージシャン

◆ マウンテンバイクやカフェ、音楽など、趣味を束ねて浮き沈みしながら生きていく

◆ 作家を支えていくコミュニティ:同人誌は、推しエコノミーの本質

◆ 異色肌コスプレのブレイクからフリーの撮影会モデルになって拓かれた世界

 

この本の中盤では、「最果てのゲイタウンが教えてくれる商店街活性化の鍵」「伝説のカーショップでわかった起業がもたらす幸福」「キッチンカーでラーメン屋? 屋台が人間を解放してくれる理由」および「山で生きる祖父が体現していた、本当の意味での稼ぐ力」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ 那覇都心の異界から南端のゲイタウンへ、街は新陳代謝する

◆ 起業してお客様を選べる規模にしてノーストレスで幸福度アップ

◆ 低投資で起業して経営できる屋台は持続可能な生活を担保して人を解放

◆ 山で生きていく力は、市場との接点を見つける「稼ぐ力」

 

本書の後半では、「歌舞伎町の飲み屋にいる怪しいオジサンのニッチな儲け方」「シーラカンスのように生き残る日本の1000年企業のスゴさ」「魚のさばき屋さんからサービスの価格を考える」および「小説紹介を生業にするもう一つの冴えたやり方」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ 歌舞伎町で手間なし、元手なし、繋がりだけで食える市場の隙間を見つける

◆ 競争を避けて「独占できる安定した環境」に1000年以上生き続けるシーラカンス企業

◆ 魚をさばく「価格付け」から、そこそこ起業を考えていく

◆ 好きな小説を紹介するだけでも、動画配信者の冴えた「稼ぎ方」で食べられる

 

本書で提唱している「そこそこ起業」は、拙著『定年ひとり起業』シリーズ三部作および集大成であるムック本『1日1テーマ読むだけでやりたくなる 定年ひとり起業』(いずれも自由国民社)にて私が推奨している「定年ひとり起業」共通するコンセプトの起業で、強く共感しました。

 

この本の締めくくりとして著者は、「『そこそこ起業』のための第一歩として取り組むべきは、自分の趣味や好きなことを、それこそ『あの人は凄い!』と同好の士から思われるくらい、ガンガン遊んで楽しむ姿を見せていき、そこで集まった人をベースに『何ができるのか?』を考えていくこと」と述べています。楽園作りということです。

 

あなたも本書を読んで、「そこそこ起業」のコンセプトを学び、幸せな人生を実現してみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3535日目】