「現代シニアの変化をとらえろ、アクティブシニアはもう古い!」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、生活者に関する研究を続け、シニアマーケティングの新論を展開しているビデオリサーチひと研究所が編纂した、こちらの新刊書籍です。
ビデオリサーチひと研究所『新シニア市場攻略のカギはモラトリアムおじさんだ!』(ダイヤモンド社)
この本は、「シニアマーケットは理解が難しい」と言われる中にあって、「セカンドライフモラトリアム」こそ宝の山だ」と提唱しているユニークな書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.昔の高齢者といまのシニアはどこが違う?
2.多種多様なシニアは「価値観」で分解できる!
3.多様化するシニアをひもとく6グループ
4.最有力ターゲット「モラトリアムおじさん」の心をつかめ!
5.シニア研究の未来
本書の冒頭で著者は、「シニアマーケティングの対象を、55歳から74歳にする」と結論を述べています。これは、ひとつには、イギリスの歴史社会学者、ピーター・ラスレットが提唱した「人生4期論」をベースにしています。
つまり、誕生から死までの人生を、①ファーストエイジ(未熟・教育・依存)、②セカンドエイジ(自立・責任・蓄積)、③サードエイジ(達成・完成・充実)、④フォースエイジ(依存・衰退)の4つの段階の期間に分けるという考え方です。
ここ言う「サードエイジ」がまさにシニアの期間にあたり、ここにデータなどの客観的根拠を活用するため、年齢を当てはめた、ということです。
「サードエイジ」の始まりとして、加齢による身体やライフステージの変化が大部分の人で実感され始める年齢(=55歳)、終わりを消費や生活が大部分の帆とで収束に向かう年齢(74歳)として設定することになりました。
本書によれば、身体やライフステージの変化のポイントは以下の3つで、いずれも50代半ばにピークが来る、と言います。
1.「身体」の変化
2.「社会的立場」の変化
3.「家族」の変化
「身体」の変化とは、「老化現象」のことで、老眼の進行、肌の衰え、睡眠障害、とっさに言葉が思い出せない、更年期障害などで、これらを「エイジングイベント」と呼んでいます。
「社会的立場」の変化は、「定年」の60歳が分かりやすいのですが、実はそれより前に、「役職定年」があったり、「早期退職」する同世代がいたりして、50代半ばには、区切りが意識され始めます。
もうひとつ、「家族」の変化も、子どもが巣立つタイミングが50代半ばで、その後は子どもの結婚、孫の誕生、親の介護の開始など、区切りがやってきます。
また、終わりの年齢(=70代半ば)はさらに分かりやすく、エイジングイベントで言えば、認知症や歩行困難といった変化が起き始めます。そして、自ら積極的に行う消費からも遠ざかって行きます。
本書の中盤以降では、イオン葛西店4階の「グランド・ゲネレーションズ・モール」(=G・Gモール)の取り組みが紹介され、シニア層の集客や売り上げ増加に効果を上げています。
さらに本書では、多様化するシニアを以下の6グループに分類して、マーケティングを行っています。
1.淡々コンサバ
2.アクティブトラッド
3.身の丈リアリスト
4.ラブ・マイライフ
5.インディペンデント
6.セカンドライフ・モラトリアム
この中でとくに、本書では「セカンドライフ・モラトリアム」に注目して、その戸惑いの強さが特徴的であるため、行動のきっかけを分析しています。
この「モラトリアムおじさん」こそが、今後の攻略のターゲットで、「心のゲート」が閉じてからの期間が長く、その特有の価値観から生まれる不安、不満を解消する6つのキーワードが以下のように紹介されています。
◆ 再会/リベンジ
◆ 大義名分
◆ お墨付き
◆ 達成目標
◆ 無所属不安の解消
◆ 新しいコミュニティ
本書の最後には、シニア研究の未来や、2030年のシニアの姿が展望されています。あなたも本書を読んで、シニア市場の攻略について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を