「将来の日本を見据えると、人口減少、大量相続の発声、住宅需要の激減など国の骨格が変わる人口構成の大変化が起きています。」「空き家は社会の厄介者という認識から、家は上手にリフォームして大切に使い受け継いでいく、自分の住む街に愛着を持つ『街プラウド』が醸成される機運が盛り上がっています。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、東京大学経済学部卒、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、BCGを経て三井不動産に勤務、J-REAT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立、現在はオラガ総研株式会社代表取締役として、ホテルなどの不動産プロデュース業を展開、全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立し代表取締役を兼務している牧野知弘さんが書いた、こちらの書籍です。
牧野知弘『新・空き家問題ー2030年に向けての大変化』(祥伝社新書)
この本は、前著『空き家問題』(祥伝社新書)から今日に至る空き家問題の進展を追うことに加え、これから本番を迎える大都市圏大量相続によって確実に生じる首都圏空き家問題、不動産マーケットへの影響が2030年前後からそれ以降に日本社会に大きな変化を起こしていく様を展望する書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.激増する首都圏の空き家
2.マンション空き家住戸は大問題!
3.空き家になる前にー家族としての戦略
4.おひとりさまの空き家問題
5.空き家を増やさない!ー動き出した国と自治体
6.2030年、首都圏の家は買いやすくなる!?
7.空き家をなくすためにー日本の都市計画と住宅政策の根本改革
この本の冒頭で著者は、「空き家問題が、単に家族、個人の問題として、誰も使わなくなった家をどうしよう、という領域を超え、日本社会全体の問題としてとらえられ始めた」と述べています。
本書の前半では、「激増する首都圏の空き家」および「マンション空き家住戸は大問題!」について以下のポイントを紹介しています。
◆ 2023に空き家900万戸となった衝撃
◆ 空き家率は地方が高いが、空き家数は東京、大阪など大都市が多い
◆ 空き家の大半は、賃貸用空き家と個人住宅空き家
◆ 空き家になった理由は相続が半分以上
◆ 空き家の半分以上がマンションの空き家
◆ マンション空き住戸の問題は可視化されにくいが、隣戸をはじめ建物全体に波及する
◆ 相続人を捕捉できず、管理費・修繕積立金の滞納が増えて管理不全マンションになる
◆ 流動化できない築古、郊外マンション空き住戸
この本の中盤では、「空き家になる前にー家族としての戦略」「おひとりさまの空き家問題」および「空き家を増やさない!ー動き出した国と自治体」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 親の財産を知ることから空き家対策が始まる
◆ 親が認知症になる前に、将来の空き家問題の解決策を立てる
◆ おひとりさま世帯の急増と親の介護・不動産とのつながり
◆ おひとりさま難民の問題は病気入院や亡くなった時に表面化
◆ 管理不全空き家は固定資産税減免措置が不適用
◆ 特定空き家は即時解体撤去の対象に
◆ 相続投機の義務化(3年以内)と罰則規定(10万円以下の過料)
◆ 相続人行方不明ありでも不動産処分が可能に
◆ 相続土地の国庫帰属が可能に
本書の後半では、「2030年、首都圏の家は買いやすくなる!?」および「空き家をなくすためにー日本の都市計画と住宅政策の根本改革」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 首都圏高齢者900万人のうち半数の480万人が75歳以上のインパクトがこれから起こる
◆ 後期高齢者の単独世帯数は20年間で3.3倍に激増(とくに千葉県と埼玉県)
◆ 一次相続の配偶者特別控除(1億6000万円)適用がない二次相続では相続税が課税
◆ 首都圏の大量相続により賃貸戸建てという新しい住まい方も
◆ 3世代が暮らせる街:千葉県佐倉市ユーカリが丘のサスティナビリティ
◆ 凝固した不動産所有権を溶かすことも
◆ 住宅量産政策の転換を
◆ 街プラウドの情勢が空き家をなくす
この本の締めくくりとして著者は、「空き家はこれからさらに増え、私たちの暮らす街、地域で避けて通れない問題となります。ただ、空き家を街の厄介者として排除するのではなく、みんなが見守り、一緒に利用策を考えるコミュニティの醸成につなげていくことはとても大切な考えだと思います。」と述べています。
あなたも本書を読んで、2030年前後からは首都圏で「大量相続=空き家激増」時代が到来することを学び、今後の住まいについて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3650日目】