生活者の意識や好み、価値観などについて、年齢による違いが小さくなる現象「消齢化」が進んでいる社会を「消齢化社会」と名付けて解説している本があります。
本日紹介するのは、博報堂の企業哲学「生活者発想」を具現化するために1981年に設立されたシンクタンクの博報堂生活総合研究所が書いた、こちらの書籍です。
博報堂生活総合研究所『消齢化社会 年齢による違いが消えていく!生き方、社会、ビジネスの未来予測』(集英社インターナショナル新書)
この本は、なぜ「消齢化」という現象を発見するに至ったのか、消齢化の研究として、現在どんなことがわかっているのか、そして、いずれ来るかもしれない「超消齢化社会」において、生活者をどのように捉え、どんなビジネスのアイデアを生み出していけるのか、ということを30年間聴取しつづけてきた長期時系列調査「生活定点」のデータをもとに解説している書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.消齢化の発見
2.消齢化の背景
3.消齢化の未来
4.有識者と考える「消齢化社会」
5.発想転換のための8つのヒント
この本の冒頭で著者は、「生活者の意識や好み・価値観などについて、年齢による違いが小さくなる現象を『消齢化』と命名し、調査・研究を行っています。」と述べています。
本書の前半では、「消齢化の発見」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 30年間で生活者の年代に基づく価値観や意識の違いが小さくなっている
◆ ハンバーグが好き、超能力を信じる
◆ 夫婦はどんなことがあっても離婚しない方がいい
◆ 木の床(フローリング)が好き
◆ 世界にひとつしかない自分の服や小物などを作りたい
この本の中盤では、「消齢化の背景」および「消齢化の未来」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 元気なシニアが増えた
◆ 年齢を気にしない人が増えた
◆ インターネットが普及した
◆ 日本経済の低成長が長く続いている
◆ 人生ゴムバンド(寿命が70歳時代の70歳と、寿命が100歳時代の100歳は同じ)
◆ 生活インフラの充実(調理済み食品、スマホ、宅配サービスなど)
◆ 生活者の「できる」が増えた(能力の変化)
◆ 戦前世代の退出に夜価値観の同質化
◆「失われた30年」を共に経験した世代
◆ 社会的加齢の消失、人生の節目がなくなる
◆ 技術進展による消齢化の進行
◆ 団塊世代の退出による消齢化の進行
◆ 消齢化が社会融和を促す
◆ 消齢化で「実質年齢」への関心が高まるり、生き方の再編も
◆ 消齢化で対話を促す仕組みづくりが活発に
◆「ミドラー」が躍動する社会へ
◆ 社会全体で進む「デモグラ離れ」
◆ 商品戦略の「タテ串」再編が始まる
◆「同じを楽しむ」ニーズが新市場に
本書の後半では、「有識者と考える消齢化社会」および「発想転換のための8つのヒント」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 消齢化を生み出したのは「変化のない社会」
◆ 日本の強みは「上質なフォロワー層」
◆ ヒットの着火点となる層が多様化
◆ 消齢化の時代に求められるストーリー性
◆ 地方社会の生き残りは、多様性に懸かっている
◆「多様な人による対話」がカギ
◆ 古き良きものを新しいブランディングと繋げる翻訳家
◆「高齢」を「消齢」に置き換えてみる
◆ 次に「消える」ものに着目する
◆ 新たなモノサシを探す
この本の締めくくりとして著者は、「人口減少や高齢化という大きな課題に直面していても、社会や生活者を捉え直し、新たな活路を見出すチャンスは、どこかに常にあるのだ」と述べています。
あなたも本書を読んで、年齢による違いが消えていく「消齢化社会」について学び、未来を予測してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3219日目】